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風の坂道 13


ウビンとイジョンがビリヤードに興じながら今日の出来事を楽しげに話している。
「いやー、こんなに楽しかったのはマジ久しぶりだ」
「何しろ天下のク・ジュンピョを一発で倒したんだからな」
「あの子、誰かに似てないか…?」
「おっ、イジョン。おまえもそう思ってたか?」
「…誰だ…?」

しばし考えて二人の声が重なる。
「「ジュニ・ヌナだ」」
「バカ言え!そんなわけねぇだろ!ヌナとあの庶民が似てるわけねえ!!」
すかさず否定するジュンピョにニヤニヤと面白そうに笑うウビンとイジョン。
「いやいや」
「絶対似てるって」

3人の会話に加わりもせず、一人タロットカードを玩ぶジフ。
器用な手つきでテーブルの上、扇状にカードを広げると、つっと1枚のカードを手に取り表を開いた。

カードは“The Lovers(恋人)”

さして興味もなさそうにジフはぼんやりとカードを眺めていた。

*

ひとまず赤札は撤回されたものの、一般庶民であるジャンディが神話学園に通っていること自体が気に入らない生徒たちからは、相変わらず小さな嫌がらせや嫌味が続いている。
全く気にならないと言えば嘘になるが、さすがに授業中は何もしかけてくることは無い為、ジャンディは授業が終わると唯一の安らぎの場所・非常階段で過ごしていた。
1フロア下の踊り場にジフがいることも多かったのだが、気付くことは無かった。

そして赤札撤回と共にク・ジュンピョ自身がジャンディの視界に現れるようになった。
また何かを仕掛けてくるのかと神経を尖らせるが、何をするでも言うでもない。
それがかえって気味が悪いと感じていた。

そんな日が数日続いたある日、ジャンディは学園内でなぜか黒服の男たちに追われていた。
「おじさんたち。なんであたしを追いかけるんですか?」
逃げながら問いかけるが、彼らは黙々とジャンディを捕えようと追いかけてくる。
学園内と言う事で地の利もあり、身を隠しながらようやく逃れたかと気が緩んだ瞬間、後ろから口にハンカチを当てられた。
―――あっ、なにか…
思った瞬間に気が遠のいて行った。

ふと目覚めるとソファに横たえられていた。
はっとして飛び起き部屋を見渡すと、どこかの宮殿に紛れ込んだのではと思うような部屋のこれまた豪華なゴブラン織りのロココ調ソファの上に自分がいることに気付く。
しかも目に映る自分の衣服はどう見ても来ていたはずの制服ではない。
部屋の壁にかかる鏡に気付き、立ち上がってその前に進む。
そこに映ったのは…
「…えっ…なに…これ…?」
いつものストレートな黒髪が軽くウェーブされ毛先はカールされている。薄化粧が施されドレスにアクセサリー、もちろん足元はパーティに行くようなヒールの靴。

ここがどこか、何が起こったのかもわからないまま、しばし呆然とする。

と、突然扉がノックされ、失礼いたしますと恭しく年配の男性が入って来た。

「お気が付かれましたか? 主がお待ちでございます。ご案内させていただきます」
人の姿に少しほっとして先に立って歩くその男性の後を歩きながら、
「あの…ここは?国内ですよね?」
「さようでございます、お嬢様」
「あ…いえ、あたしはお嬢様じゃありません。あの、待ってるって…主って…誰ですか?」
丁度その時、一つのドアの前で男性が立ち止まる。
「このお部屋でお待ちでございます。お嬢様、どうぞ」
無駄口一つなく、その男性はドアを静かに開けた。

戸惑いながらも開けられたドアの中へと足を進める。
やはり先ほどの部屋と同じく豪華な調度品が置かれた宮殿のような部屋にゆっくりと視線を巡らせる。

広い部屋の先、窓辺に立つ長身の人影が見える。
逆光で良く見えないその人物に先日助けてくれたユン・ジフの面影が重なり、胸の鼓動が一つ大きく跳ねる。

が―――
振り向いた長身の男性はあの忌々しいク・ジュンピョだった。
「あんた!なんでここにいるの?」
「自分の家に居て悪いか?」
「自分の家?…あんたの家なの?」
「そうだ」
ジャンディはさながら毛を逆立てる猫のようだ。警戒心はマックス状態。
「なんで?…何をする気?」
「もう済んだ…」

ジュンピョの手が肩にかかりビクリとするジャンディを鏡に向かせ、
「見て見ろ。自分でも驚きだろう。醜いアヒルの子も金をかければ“シラトリ”になる」
「…“白鳥”でしょ?」
思わずツッ込んで我に返る。
「そんなの関係ないか…何の真似?勝手なことしないでよ!」
ジャンディの怒りなどお構いなしに、ジュンピョは満足げにニンマリとする。
「おい、庶民。素直に喜べ。天邪鬼だな」
何が嬉しいのかすっかりご満悦の様子のジュンピョ。
一方のジャンディは怒り心頭で、
「ク・ジュンピョ。悪ふざけにも程があるわ。これは誘拐に監禁、タチの悪い犯罪よ!」
ジャンディの怒りが照れ隠しだとでも思っているのかジュンピョはまだ続ける。
「誰もいないから素直に喜べ。これからは学園の外では特別に話しかけてやるよ」

勘違いも甚だしいジュンピョの言葉に呆れかえってジャンディはポカンと口を開けてしまった。だがさらにジュンピョの勘違いは続いていた。
「そんなに感動したか?もう一度言ってやる。俺の言う事を聞くなら2人きりの時は俺の恋人にしてやっても良い」
満足の笑みをたたえ、わかったかと問うジュンピョに
「正気?ヤバイわ。脂肪分の摂り過ぎで脳がやられたの?」
ようやく自分の勘違いに気付いたジュンピョの表情が曇り始める。
「誰が誰の何になるって?もう結構!帰るわ」
踵を返すジャンディの腕を掴み振り向かせたジュンピョは必死だった。
「異常なのはお前だ!」
「そこ、どいて!」
「お前にいくらかけたと思う?」
ジャンディは視線だけで問う。
「1億」
途端にジャンディの叫び声が響く。
「1億―っ!?」
ジュンピョは平然としたものだ。
「ああ。大したことじゃない。俺と居ればもっと楽しめるのに断るなんて正気か?」
「クズ男に誘拐されて、正気でいられると思う?あんたの顔を見るだけで体中に虫唾が走るのよ!」
ジュンピョを睨み据え、吐き捨てるように言い放つと、その場でイヤリング、ネックレスと次々に外し投げ捨てていく。ドレスも脱ごうとしてようやく気づき叫んだ。
「今すぐ制服を返して!!」

ジュンピョに背を向け部屋を出ようとしてふと思い出し、もう一度振り返る。
「もう一つ…知らないようだけど…友達はお金じゃなく心で付き合うものよ」
自信満々で告げるジャンディにジュンピョが返す。
「買えない者は無い。それなら言ってみろ。金で買えないものを…本当にそんなものがあるか?自信があるなら1つ挙げて見ろよ、庶民」



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