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風の坂道 8


ジャンディは非常階段に来ていた。
学生たちが誰も来ない場所を探していて見つけた安息の場所。

「ふざけてるわ。何が “フラワー4”よ。“フライ(蝿)4”の間違いじゃないの?
幾らお金持ちだか優秀だか知らないけど、人として最低じゃない!!」

自分以外の人間がいるなどとは露ほども思っていないジャンディは憂さ晴らしとばかり大声で毒づいていた。

“…煩い…”
自分以外の人間がこの非常階段を訪れた事は未だかつてなかったのに、初めてここにやって来た人間が大声で不満を叫んでいる。しかもその対象に自分も含まれている事が分かる。

“別に俺は何もしてないけど…まぁ、どうでもいいけど…”

やがて少しトーンダウンした声がさらに続く。

「お昼ご飯だってあんなバカ高いの、勿体ない…今日は我慢して、明日からお弁当持って来よう。ああ、お腹すいたな…」

“…ってことは今日はお昼抜きなんだ…”

「ハラボジに言われてここに編入したけど…勉強できるのは嬉しいけど…こんなとこだったなんて…選民意識の固まりみたいな生徒ばっかり…あたしみたいなド庶民がやっていけるのかな…?」

“おじいさんに言われてここに来たってこと…?ド庶民って自分で言ってるけど、本当にそうならここには入れないと思うけど…?”

「と、午後の授業が始まっちゃう。行かなきゃ」
パタンとドアが開閉し、パタパタと軽い足音が遠ざかって行く。

「変な奴…」
そう呟く自分の顏が綻んでいることにジフは気付いていなかった。

*

ジャンディは帰宅するとF4について調べてみた。
ネットで検索しただけで簡単に4人の情報が出てきた。

ソン・ウビン、ソ・イジョン、ユン・ジフ、そして最もいけ好かないと感じたク・ジュンピョ。あの傍若無人な男が国を代表する神話グループの後継者だと言う事実がジャンディをうんざりとした気持ちにさせていた。
“神話グループ…大丈夫なの?”

ソギョンに登校初日の感想を聞かれたが全てを正直に話すことがためらわれ、結局ジャンディは当たり障りなくカリキュラムが充実している事にだけ言及した。
学んで身に付けた事は誰にも奪われることがないのだから、というソギョンの言葉は頷けるもので、ジャンディはその言葉に従おうと決めていた。

あと一つだけソギョンに伝えたのは、ラウンジの食事のバカ高さだった。
ジャンディにすれば一食50000ウォンもする学食などありえなかった。
「あまりにも勿体ないので明日からお弁当を持って行きます」

ジャンディが学園に溶け込めなくなることを心配したソギョンだったが、ジャンディは譲らなかった。挙句にソギョンの昼食まで心配して、外食ばかりは良くないとソギョンの弁当まで作ると言い始める始末だった。


そして、翌日。
「ハラボジ、お弁当置いておきますね。持って行って診療所で食べて下さいね。じゃあ、行ってまいりまーす」

ソギョンに声を掛けると元気に家を飛び出して行った。

選民意識の強いクラスメートは一般庶民など相手にする価値もないと思っているのか、誰一人として声を掛けてくることは無かった。
へたに構われてバカにされるより余程良いと、大して気にもせず授業に集中していると、時間は瞬く間に過ぎて昼休みを迎える。

ラウンジに向かい、周囲で豪華な昼食を摂る生徒たちの中で持参した弁当を広げる。
そこに昨日の女生徒3人が料理を乗せたトレーを持って近づいてきた。

「あーら、やだー」
「なーに?庶民。あんたここでお弁当なんて食べるつもり?」
「いやーね。ビンボー臭い。ああ、くっさーい」

そう言ってポケットからアトマイザーを出して香水を弁当に吹きかけようとする。
ジャンディは腕で弁当を覆って香水がかかるのを必死で防いだ。

3人はようやく満足したのか、「庶民、これでわかったでしょ?」と高笑いしながらその場を離れて行った。
彼女たちが行ってしまうと、黙って3人を睨み付けていたジャンディは弁当をクンクンと嗅ぎ、香水の匂いが付いていないことにホットして食べ始めた。

食べ終わったらこの忌々しいラウンジからさっさと出ようと一心不乱に食べていると、ふと気配を感じて視線をずらした。
軽くウェーブのかかったまるでお人形のような綺麗な子が人懐こい笑顔を向けていた。
その子は腰をかがめジャンディを覗き込むようにして
「ねぇ…それ…一口もらっても良い…?」
とそれはそれは楽しそうに尋ねてきた。

そのやりとりを見ていた人物がいた。
F4ラウンジを出て行こうとしたジフだった。
“この学園で弁当持ってきてる奴なんて初めて見たな…”

F3は食べたことなどないだろうが、自分には弁当を食べた経験があった。
祖父と二人で気ままに暮らしていた子供の頃の経験だった。
アジュンマ(家政婦)の作ってくれたものだったが、当時のジフにとっては家庭の味だった。
“遠い昔の話…だな…”




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