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風の坂道 7


神話学園登校初日、ジャンディは自転車で出かけて行った。
あの学園に通っている事での誘拐のリスクを考えると儂は車を使わせてやりたかったが、あの子の性格からするとそれは受け入れまいと考え、あの子の好きにさせることにした。

縁があれば、あの子とジフが出会うだろうと密かな期待を秘めていた。

*

神話学園登校初日、自転車で学園に向かったあたしは信じがたい光景を見ることになった。
学園に近づくにつれ、長い車の列が連なっている。
こんなところで交通渋滞?と首を傾げながら進んでいくと校門前で停車した車のドアが降りてきた運転手に開けられ、学園の制服を来た学生が降りてくる。
それが次々と繰り広げられ、中から降り立った学生たちがあたしに気付くと、眉を顰めてあたしを見てひそひそと言葉を交わしている。

車で登下校なんてお金持ちの子供たちには当たり前なんだろうけど、あたしにしたらバカバカしいし勿体ないと思える。
あたしを見る目つきがバカにされているようで気に食わなかったけれど、あたしはここに勉強しに来てるんだからと無視することに決めた。
友達ができればいいと思っていたけど、それはここでは無理みたい…
あたしは友人を早々に諦めた。

校舎に向かう途中で男子生徒たちが数人固まってはしゃいでいる。
「これは韓国に2着しかないんだぜ」
自慢げに自分のシャツを指し示す男子。
「2着…?誰だよ?」
周囲の男子たちが興味津々で訊ねている。
自慢した男は勿体ぶった様子でその名を告げる。
「…ク…ジュン、ピョ、さ。けどはっきり言って俺の方が似合うだろ?」

聞こえてきたやり取りにも既にうんざりだった。


ロッカーに鞄を入れて教室に向かおうとしていると、周囲の学生たちが突然浮足立ち走り始めた。
「F4だ!」「きゃーっ、F4よっ!!」
口々に叫びながらエントランスに向かう学生たちの後ろをついて行き、吹き抜けになったエントランスを2階から見下ろした正にその時…エントランスから4人の男子学生が入って来た。
制服ではなく私服を着用したその4人は、揃って整った容姿の長身で、全生徒の歓声の中動じることも無く歩いている。
よく見れば4人のうち2人は周囲に笑顔を振り向けていたが、2人は全く無表情だった。

まるでモーゼの十戒の如く、人波の割れた中を悠然と歩んでいた4人の先頭を歩いていた一番長身でクルクルのくせ毛の1人がふと歩みを止める。
次いで視線を向けた先には、ジャンディが登校した時に見かけたシャツを自慢していた男子生徒がいた。

まるで肉食獣を思わせる目に射竦められ、男子生徒が出した声は震えていた。
「な…なんでしょうか…?」
「3秒やる」
言われた意味が解らず、ただおどおどと所在なげに立ちすくんだままの生徒。

「…ウビン、ジュースあるか?」
振り向きもせず問う声にウビンと呼ばれた一人が「ああ…いるか?」と平然と答え、手にしたジュースを手渡す。
ジュースを手にすると、くせ毛の男は男子生徒の襟を掴み中の白いシャツの上にジュースをゆっくりと垂らした。

オレンジ色に染まって行く白いシャツ…
対照的に青ざめていく生徒の顔…
空になったジュースの瓶を生徒に持たせると、くせ毛の男は無言のままニコリともせずポンと肩を一つ叩き、その場を後にした。

今にも泣き出しそうな男子生徒の傍に友人たちが集まり慰めるように肩を抱く。

「なんなのよ…なんてフザけた奴らなの?まわりの生徒たちもどうかしてる。なんで誰も何も言わないの?」
呆気にとられていたジャンディが我に返り、見世物は終わったとばかり散らばって行く生徒たちの中で思わず口にした言葉を聞きとがめたのは3人組みの女子生徒だった。

「何ですって?」
「あんた、転校生?」
「F4を知らないの?」

制服こそ着てはいるが、明らかにブランド品と解るアクセサリーやマニキュア、香水の香りを漂わせたその3人はずいっとジャンディに迫り取り囲んだ。

だがその程度で怯むようなジャンディではなかった。
キッと3人をまっすく見てきっぱりと答えた。
「F4?なに?それ。知らないわ」

3人が肩を竦めて呆れた様に首を振る。
「転校生! 知らないみたいだから教えといてあげるわ」
「“花の4人組”つまりフラワー・フォーで“F4”」
「容姿も頭脳もずば抜けているだけでなく、我が国を代表するトップクラスの家柄の後継者の方々よ」
「あんたみたいな庶民がどうこう言っていい方々じゃないのよ」
「身分をわきまえる事ね」

「どれだけ優秀だろうが、身分が高かろうが、人としてやって良い事と悪い事があるわ」
「それが庶民の考え方だって言うのよ。忠告しておいて上げるわ。ここではF4がルールなのよ。無事に過ごしたければ大人しくしておくことね」

言いたいだけ言い放ち3人はもうジャンディに興味は無いとばかり、高笑いしながら遠ざかって行った。



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