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Live to tell 72


釣りの帰りにハラボジから緒に来てくれと言われ、スアム文化財団本部にやって来た。
スタッフが玄関ホールのドアを開け俺達を迎え入れる。
ご苦労と労いの言葉を掛けながらハラボジは館内に入った。

「財団を作って力を注いで来た。多くの人が助けてくれたしな」
ジャンディと俺を連れたハラボジは上機嫌だ。
「ジャンディ、中を見て回ろう」
「はい」
財団内を案内しながら色々な事を話すハラボジ。きっとジャンディも自分の孫のように思っているのだろう。そんなハラボジの話をジャンディも真剣に聞いている。

「大規模だろ?」
「広いですね。あっ、あそこは?」
「向こうは全部会議室だ」

その時ハラボジの電話が着信を告げる。
俺達にことわりを入れ電話に出たハラボジの口調が変わって行く。

「本当か?」

「一体誰が?」

俺も彼女も穏やかでないハラボジの口調に思わず振り向く。

「どういう事だ」

「ダメだ!何があっても財団は守らねばならん!ダメだ!ダ…」

叫び声と共にその場に崩れるように倒れるハラボジにジャンディが駆け寄る。
ハラボジを呼ぶジャンディと俺の声が夜の人気のない館内に響く。

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慌てて薬を取り出しハラボジに飲ませようとするジャンディの姿が目に映るが、俺には事態が飲み込めない。ハラボジが倒れた現実を受け入れられず、何事かを叫ぶジャンディの声も俺の耳には届いていなかった。

病院に搬送され緊急処置を終えたハラボジが病室へと移された。
ハラボジを失う恐怖に身が竦み、俺は病室に入ることもできず、壁に凭れて辛うじて立っていた。

病室から出てきたジャンディに顔も向けない俺なのに彼女は優しかった。
「気をつけていれば大丈夫だから、先輩には黙っていろって言われてたんです」
俺を安心させるように笑顔を向けながら
「ハラボジの着替えを取りに行きましょう?」
言われるがまま俺はその場からようやく動くことが出来た。


自宅に帰るとジャンディはハラボジの部屋に入りパタパタと動き回りながら荷造りをしている。
彼女に任せたまま俺はぼんやりと中庭を見るともなしに見ていた。

しばらくしてジャンディが大きな箱を持ってきて俺へと差し出す。
―見ろっていうのか?
何も言わないジャンディから仕方なくその箱を受け取り、ソファに掛けテーブルに置いて蓋を開いた。

中に入っていたのは子供の物…
見覚えのある靴…見覚えのあるリュック…
リュックを手に取ると名札には“2年3組 ユン・ジフ”の文字。
箱の底に収められた白い封筒。
何が入っているのだろうとそっと中身を取り出してみる。

そこには―――
“ジフ 幼稚舎入園の日”
“ジフ 初等部入学の日”
それは節目節目と続き、そして
“ジフ 大学入学の日”
全ての絵に生きていればこうであったであろう両親の姿と共に俺の姿が描かれていた。

それは成長するわが子を見ることが叶わなかった両親の為であり、共に両親と過ごすことが出来なかった俺へのハラボジの想い…
自分でも気づかぬうちに俺の目から涙が溢れていた。

ハラボジへの長年の蟠りが全て洗い流された瞬間だった。

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