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Live to tell 64


ある日の夜、俺を呼ぶジャンディの声に裏庭の入口へと向かった。
キャリーバッグを転がしながら入って来たジャンディ。

「急に何の用?」
真っ直ぐに俺を見つめて手にした鞄をドンッと床に置く。
「それは?」
「引っ越しの荷物。余ってる部屋ありますか?」

悪びれることなく笑顔で聞く彼女に呆気にとられながら、空き部屋を指差す。
ニンマリと笑った彼女は庭に向けて大きな声で呼びかけた。

「早く来てください。早くー」
俺に向けて「ちょっと待ってて」と言うと駆け出して行き、誰かの手を引き「ほら、早く」と急かしている。
手を引かれるその人が「まったく…どこへ連れて行くんだ」とぼやきながら顔を上げた。
その瞬間信じられない人物の登場に俺の顏が強張った。だがそれは俺だけでなく相手もだったが…

オンドルの部屋をジャンディは雑巾掛けしているようだった。
微かに聞こえる話し声…

「座って下さい」「ここにか…?」「これからここがハラボジの家です」
「こいつめ!!突然すぎるだろう…儂もあの子も心の準備がいるだろうが」
「心の準備なら随分したでしょう?」「……」「足りないですか?」

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俺は声が聞こえないようにと庭に出た。
一体どういうつもりなんだとジャンディに苛立ちをぶつけそうで、頭を冷やしたかった。
やがてジャンディが家から出てきた。

「何の真似?」つい口調がきつくなる。

「ハラボジ(お祖父さん)にも先輩にも家族が必要だから。私が探してあげただけ」
「クム・ジャンディ。俺はまだ…」
「心の準備がまだできてませんか?」

ふふっと笑って続ける。
「ハラボジも同じことを言ってましたけど、心の準備ってどれぐらい必要なんですか?
どんなにしても無駄だと思いますよ」

「以前先輩が言いましたよね?“他人を完璧に知るのは無理だ。でも自分の友達がどんな奴かは分かる”って…」

俺は逸らしていた顔をジャンディに向けた。

「私が知ってるジフ先輩は、ハラボジをすごく愛していて慕っている。だから…きっと許せますよ」

そう言って笑顔を向けるジャンディを責める事も出来ず、ただ小さく一つ溜息を吐いた。

*

カチ…カチャ、カチャ…

微かに食器の触れ合う音がする。
…煩い…
まだ眠気の残る目を無理やり開けながら起き上がり音のする方へとゆっくり歩を進めた。

ダイニングでハラボジが料理を盛り付けている…
子供の頃、俺が好きだった料理で顔を模した飾り付け…
俺に気付いたハラボジが笑顔を向ける。
「お前が子供の頃好きだっただろ?」

「さあ、食べよう」
「いらない」
「そ、それならこれだけでも…」

差し出された菓子を一瞥だけして俺はハラボジに背を向けた。


ハラボジが食事を済ませ部屋に戻ったのを見計らって俺はダイニングへ入る。
可愛らしく盛り付けられた皿を見ながら、俺の誤解だったのだと頭では理解していた。
それを素直に認める事ができない自分の心の狭さをどうにもできなくて、ただ黙って料理を口に運んだ。
それは昔の幸せだった頃と同じ味がした。

食べ終えて立ち上がった時、向かいのハラボジの皿に俺の皿と同じように豆が残されていることに気付いて、グラスの水を煽るように一気に飲んでいた。



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