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Live to tell 60


美術館の窓際に置かれたテーブルに腰掛けて外を眺めていると、近づいてくるジャンディの姿が見えて、自分の顏が綻ぶのを感じる。

美術館の入り口まで来た彼女は『本日、休館』と書かれた看板を見て溜息を吐き、踵を返して立ち去ろうとしている。
そんな彼女に俺は中からドアを開け「こっちだよ」と声を掛けた。

不思議そうな表情の彼女を中に招き入れる。
『マティス展』はスアム文化財団所有の美術館で開催されていた。
休館日の今日ならジャンディにゆっくり見せてあげる事ができる…

熱心に館内を見て回る彼女に俺も付いて歩く。
彼女が俺に話しかける…質問する…彼女が俺を呼んで手招きする…
そんな何もかもが幸せで…かけがえのない時間に思える…

一通り見終えた俺達は館内のアートショップに居た。
…と、ジャンディがそこに並べられていた陶器のオブジェの中の蓮の花を手に取っていた。
物思いながら手にした蓮のつぼみにじっと見入るジャンディ。

「それ、気に入ったの?」
俺を振り向きニッコリと笑いながら「いいえ、これだけで良いわ」と絵葉書を見せた。

その手に持った絵葉書を見ながらしばらく考えていた彼女。
「もしかして知ってます…?」

ふとそう漏らすと、ジャンディは俺を真っ直ぐ見て続けた。
「なぜ蓮の花は泥の中で咲くのか…?」

一瞬、彼女の言葉の意味を捉えかねて「なに…?」と口にした俺に彼女は恥ずかしそうに笑いながら「何でもない」と言ってその場を離れていく。

彼女が見ていた陶器のオブジェ…蓮の葉と一輪のつぼみ…を見ている俺の頭に、この間訪れた寺の僧侶の言葉が甦った。

―――泥も浄化する蓮の花の相だ
   大切にしなさい
   君に家族を作ってくれるだろう―――


良く晴れた日差しの暖かさに誘われて、美術館前の庭園のベンチに2人腰を掛けていると、睡魔が俺を襲う。
そんな俺に飽くことも無く、彼女はずっと俺の傍に居たのだろう。
気が付けば彼女は俺を描いていた。

「無断でモデルにしてる」
「起きたんですか?」
穏やかな彼女の声に俺も笑いを込めた声で返す。
「リストを作っておくべきだったな」
「何のリスト?」
「君に返してもらう交通費にお茶代…演奏会のチケットとモデル料まで…結構な額だね?」

俺の冗談を受け止めた彼女は笑いながら少し考えて
「じゃあ…まずはモデル料を」

そう言って差し出されたのはゴッホの向日葵の絵葉書の裏に俺の寝顔を描いたスケッチ。
これを描くために彼女が真剣に俺を見ていてくれた事が嬉しくて顔が綻ぶ。

「良く描けてるから、逆にお礼をするよ」
彼女が描いてくれた自分の絵を懐に仕舞い込むと、彼女に内緒でアートショップで購入したものを差し出した。

訳が解らないと言う表情でジャンディが箱を取り出し開ける。
中身はジャンディが見ていた蓮の花のオブジェ…
俺は独り言のように話し始める。

「蓮の花は…泥の中に咲きながら世の中を浄化してくれる…」

「ステキなことをするのね…」
「…似てるよ…」

えっ?と言ったかと思うと急にパァッと表情を明るくして
「これだ!宿題解決!」

今度は俺が疑問を抱く。
「宿題…?」

その時、ジャンディがハラボジの言葉を思い出していることなど知りもしなかった。

「プレゼント有難く頂きます」満面の笑みで彼女が朗らかに言っていた。



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