FC2ブログ

Live to tell 32


コテージを繋ぐ海上通路の手すりにもたれかかり、海風をうけて夜の海を見ていた。
パタパタと軽い足音と共に花売りの少女が駆けてくるのが見えて、俺は腰をかがめて両手を広げその子を抱き留めた。
『元気?』と声を掛けると少女は俺に問い返してきた。
『きれいなお姉さんも一緒?』
俺は黙って首を横に振る。
『恋人に渡して』そう言って少女は手にしたスズランを俺に手渡した。
黙って受け取り笑顔を浮かべて彼女の頭を撫でると、少女はくるりと踵を返し来た方向へと走り去っていく。


夜が更けても眠れない俺は海岸に引き上げられたヨットに腰掛けていた。
ふと顔を上げると視線の先にジャンディがいて、彼女が俺を見つめていることに気付いた。
俺の視線に気付いておずおずと俺の傍へと歩み寄ってきた彼女に少女にもらったすずらんを差し出して独り言のようにつぶやく。
「すずらんの花言葉を知ってる?…“必ず…幸せになれる”」

「だから…愛する人にあげる花なんですね」
「知ってたか…」
「市場で聞いたんです」

なぜだったんだろう…?相手がジャンディだったからなのか…?
俺は話していた…ソヒョンのことを。

「よく彼女と来たんだ。“ニースに似てる”って気に入ってた」
「元気にしてるかな?」
「…多分…元気だと思う」
俺の様子に彼女はとうに気付いていたんだろう。遠慮がちに問うて来る声。
「何か…あったんですか…?」
「なぜ…追いかけろと言ったんだ…?」
聞きたかったことを聞いてみただけで、彼女を責めるつもりは無かった。
「それは…」彼女が口ごもる。

「気付いたんだ。俺がいかに情けない男か…誰もいないアパートで…一日中…彼女の帰りを待つだけ…」
「でも一緒にいるだけで幸せでしょう?」
ムキになって言い募る彼女の言葉は俺への慰めだと解ったけれど受け入れることはできない。俺が語る言葉は真実だから…
「俺は好きな女のお荷物にしかなれなかったよ。それがどういうことか解るか…?」
彼女は言葉を無くし項垂れる。
「“自分の力では何もできない奴らだ”と君は言ったろ?」
「あの時は…「君の言う通りだ」」
「俺は…彼女を愛し続けること以外…何もできない子供だった…」

「あげるよ」すずらんの鉢植えを彼女に差し出す。
「…受け取れません。それはソヒョンさんに渡してあげて。もう帰ります。長くいると先輩も風邪をひきますよ」

俺を気遣う言葉を残して去ろうとするジャンディ。
咄嗟にその腕を掴み胸の中に抱き寄せていた。

「寒い…寒くて堪らない…」

ただ…温もりが欲しかった。
そんな俺を彼女は拒否することなく黙って受け入れてくれた。
離したとき彼女は黙ったままだったけれど、大きな目は今にも泣きだしそうで、きっとそれは俺の心を映しているのだと思えた…



*****
ランキングに参加しています。
皆様のポチが励みになります。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村


関連記事
スポンサーサイト

Comment

Post a comment

Secret


プロフィール

まーこ

Author:まーこ
花より男子《日本版:類つく、韓国版:ジフとジャンディ》や韓国ドラマの二次小説を書いています💕

最新記事

二次サイト リンク

♣二次サイト リンク集♣
(サイトマスター様50音順)
 
★日本版『花より男子』二次サイト★
 
♪全CPあり♪
 
 
 
♪類つく♪
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
♪類つく&総つく♪
 
 
★韓国版『花より男子』二次サイト★
 
♪ジフとジャンディ♪
 
 
 
 
 
 
 
★『シンイ-信義-』二次サイト★
 
 
★おまけ★
 
 
★別館ブログのバナー★

『蓮花の縁』

検索フォーム

QRコード

QR

FC2カウンター

オンラインカウンター

現在の閲覧者数: