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Live to tell 29


数時間遅れでシャルル・ド・ゴール空港に到着してすぐにパリ市内にあるソヒョンのアパルトマンに向かった。

ベルを鳴らしドアが開かれるのを待つ。
ドア向こうに人の気配を感じて一瞬の後、戸惑いがちに開かれたその奥に驚きに目を見開いたソヒョンの姿があった。

「…俺…来たよ…」

ソヒョンの顏が愛しさに歪んだと思ったのは俺のうぬぼれじゃないと信じたい。
小さく“ジフ”と呟いて俺を抱きしめてくれる。

部屋の中に招き入れられ、慎ましい暮らしぶりが窺える室内を見ていると、キッチンでお茶を淹れたソヒョンが戻ってきた。

「嬉しい驚きだわ…ジフが来てくれるなんて…」
「俺もここで一緒に暮らしてもいい?」
いままでの俺とは違う、率直な物言いにソヒョンは驚きながらもにっこりと笑って頷いた。
「もちろんよ」


実家の援助が無くても今までモデルとして収入を得ていたソヒョンのアパルトマンは、ささやかではあるがそれなりのものでゲストルームもあったから、俺の部屋は自然とそこになった。

パリに着いたその日の夜、俺は積年の想いを遂げることが出来た。
ソヒョンの初めてが俺でなくても構わなかった。
ソヒョンが暖かく俺を迎え入れてくれる、そのことが嬉しくてソヒョンに夢中になった。
今までの隙間を埋めるように、俺をソヒョンて包み込んで欲しくて…

こうして日ごと、夜ごとに俺は満たされていくんだろう…
そう信じていた…


国際弁護士を目ざすソヒョンはすでにモデルの仕事は止めていた。
昼間は大学で朝から晩までを過ごす。講義が無い時間は図書館だ。
帰宅して食事の支度、週に何度かの洗濯、掃除をソヒョンは自分で全てやっていた。
自分はもうお嬢様でもなんでもない、ただの一人の人間だ、とそう言って。

俺達の話題はともすればジャンディのことになった。
ジャンディがどれほど俺を心配していたか、俺が愛して止まない聖母のような笑みを浮かべて語る。まるで妹のようだと…
俺を後押ししてくれたジャンディ。
俺を心配してソヒョンに跪いたジャンディ。
パーティー会場でのドレス姿のジャンディ。

気付けば思い出すのはジャンディのことばかり…

「ジフだけじゃなくて、ジュンピョもジャンディに会って変わったみたいね…?彼女の事を気に入っているようだったし…?」
幼馴染みをいつも気にかけているソヒョンが発した言葉。
なぜか俺の胸が軋んだ気がしたのは気のせいか…?

毎日を夢に向かって生き生きと過ごすソヒョン。

だが、俺は一日、また一日と気持ちが塞いでくる。
たまたま裕福な家に生まれただけで、社会人どころかただの学生で何の力もない自分。
毎日アパルトマンの窓から空を眺めてソヒョンをただ待つだけの生活。

自分は何をしたくて…何のために来たんだろう…?
何もできず、ソヒョンの足手まといでしかない自分に嫌気がさす。

笑顔が亡くなった俺を心配するソヒョンの気遣いさえ疎ましかった。
自分がいかに子供だったか思い知らされる気がして…
そして…

俺はソヒョンが出かけている間にアパルトマンを後にした…
無性に祖国の“芝生(=ジャンディ)”が見たかった…



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