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Live to tell 12


高等部1年の夏、俺は例年のように後継者としての英才教育の一環として予定されたサマースクールに行くことになった。

この夏の行先はジュリアード。
NYの喧騒の中、学院内の敷地に入れば静かな空間があることで辛うじて耐えられた。
入校式を終えて、カリキュラムがスタートした。
世界各国からやって来た夏の間だけの留学生たち。

俺は例によって人との関わりを避けて、講義と練習が済めばさっさと財団所有の高級アパートに帰っていた。
2日目、講義の間視線を感じたが、特に敵意は感じなかった。
3日目、やはり視線を感じた俺はその気配を辿ってみた。
きっとアイツだと思った奴は同じアジア系の歳も同じぐらいの男。
そいつは講義が終わって外へ出ようとする俺に声をかけてきた。
なぜか頬を赤らめながら…

「あの…ユン・ジフさん? 僕はマカオから来ているファン・ミンと言います。友達になってもらえませんか?」
訝しく思い、そいつに何も答えず冷ややかな視線を送った。
だがミンは動揺もみせず、更に嬉しそうに顔を綻ばせた。
「んーっ、クールな表情も素敵! ねぇ、ねぇ、是非お友達になって!」
身に着けているものは質が良く、それなりの家庭に育ち財力もあるようだった。
口調やしぐさがどう見てもオネェのそれだが、外見は普通の男。
ではホモ・セクシャルかと警戒するジフに、
「あっ、心配しないで。僕はプラトニックだから」

その台詞に脱力感を感じて、つい「別にいいよ」と言ってしまったのはどんな気まぐれだった。
異国の地で家柄も財産も背景も何ら関係なく、一人の人間としての自分に好意を寄せてきたことが好ましかったのかも知れない。

その夏、講義と練習時間以外はミンに付きまとわれる生活を送ることになった。
それが嫌でなかったのはミンの音楽に対する姿勢と感性ゆえだったのか…

俺はヴァイオリンを専攻していたが、ミンはチェロだった。
ミンの音楽を愛する純粋な心が羨ましかった。
俺にとっての音楽の半分は財団を継ぐためのもの…
一方的に俺に話して聞かせたことは、ミンの実家がマカオにあり父親が富豪であること。
音楽の才能が有ったことから両親が音楽家への道を後押ししてくれていること。

確かにミンの演奏は素晴らしかった。
俺の称賛にミンは「ジフと会えた事が僕の音をより深くしてくれた」と嬉しそうに笑った。
「ジフの国の言葉だから」と韓国語も学ぶ妙に憎めないミン。
いつの間にか、他人に心を開かない俺が、ミンには自分の事を話していた。
両親の事、家の事、ソヒョンの事まで。
「ジフはソヒョンの話をするとき、いつも優しく笑う。ジフにそんな顔をさせるソヒョンが羨ましい。でもソヒョンは美人だから僕が敵わなくても仕方がないね」
憶えたての片言の韓国語でそんな事を言いながら話を聞いてくれた。

やがてサマースクールも終わりを迎えた。
「ジフ。マカオに来たら必ず連絡を頂戴ね。ジフのことは絶対に忘れないから」
泣きながら別れを告げるミンに苦笑しながら、
「ミンも元気で…」
それだけ告げて俺は背を向けた。



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