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二十四番花信風[にじゅうしばんかしんのかぜ] 2018年類誕記念 後編


バイト代の中から少しずつこの日の為に貯めておいたお金を握りしめお店に向かう。
「いらっしゃいませ。どのようなものをお探しでしょうか?」
スーツ姿の少し年配の人が声を掛けてくる。
「あ、あの…万年筆が欲しいんですが…」
「ご自身でお使いですか?」
「いえ、あの贈り物です」

差支えの無い範囲で、と訊ねられることに答えてようやく決まった一本。
それを大人びたシックなラッピングを施してもらい、ショップバッグに入れてもらった。

*

3月30日。

どこかへ出かけようと言う俺の提案を牧野は断り、俺の家へ来てくれると言っていた。
ドアがノックされ、「牧野様がお見えになりました」と言う使用人の声に続いて牧野が入って来た。

ベッドとテレビとラグだけだった部屋に牧野が来るようになって置かれるようになった小ぶりのテーブル以外は相変わらずソファさえない部屋にいつものように「お邪魔します」と小さく声に出して入って来た牧野は、ベッドに座る俺の前に来て立ったままで口を開いた。俺の大好きな向日葵のような笑顔で。

「花沢類、お誕生日おめでとう」

そして俺の目の前にショップバッグと2輪の赤いチューリップの花束を差し出した。

「これ…俺に…?もらって良いの?」
「もちろん!花沢類が気に入ってくれると良いんだけど…」
「牧野がくれるものなら何だって嬉しいよ。開けていい?」

少し頬を赤くしてコクンと頷く牧野。
俺の気持ちもどんどん上昇していく。

ショップバッグのネームから想像した通り、中から出てきたのは万年筆だった。
「あ、あのね、お店の人に相談してね…少し太めで柔らかいペン先にしてもらったんだ。前に花沢類、筆圧高くないって言ってたでしょ…?」

俺はキャップを外し、ショップバッグの端にペン先を走らせ、筆記体で自分のサインを書いてみた。
「うん、俺の手にぴったり…牧野、憶えててくれたんだ…ありがとう」
「ううん、良かった気に入ってもらえたみたいで…よかったらお仕事で使ってね」

ちょうどその時、使用人がお茶を持ってきて、俺達は話を中断し紅茶を飲むことにした。
紅茶と共に供されたケーキを牧野が嬉しそうに頬張る姿が可愛くて、俺は幸せな気分で眺めていた。

と、その視線に気付いた牧野が口を尖らせて言う。
「花沢類、そんなにじっと見られたら食べづらいよ」
「いいじゃん、牧野が美味しそうに食べる姿見てるの、俺好きだもん」

途端に首まで真っ赤になってしまった牧野。

「約束だったよね」
「な、何が…?」
「今日、話してくれるって…」
「あっ…う、うん…」

俺はそれ以上急かさず、牧野が口を開くのを黙って待っていた。
紅茶の最後の一口を飲み干すと、牧野は覚悟を決めた様に真っ直ぐ俺を見た。

何を聞かされることになるのか解らなかったけれど、不思議と俺の心は凪いでいた。

「道明寺と別れたのは…もう…随分前から…道明寺より好きな人がいたから…なの…」
「……」
「この間その事を正直に話して別れたいって言ったら、そうじゃないかと思ってたって。
もともとおまえの初恋はあいつだったからな…って」

―それって…

逸る気持ちを押さえて牧野の言葉を待つ。

「あたし…また…花沢類の事が好きになってた。もう…随分前から…」

もう…抑えられなかった。
気が付けば牧野を思い切り抱きしめていた。

「ありがとう…牧野。俺も…牧野が好きだよ…相手が司だから諦めようと思った。
…でも…あんたが俺を選んでくれたんなら…もう誰にも遠慮なんかしない」

「は、花沢類、苦しいよ…」
「…類…」
「えっ?」
「類、って呼んで。そうしたら緩めてあげる」
「る、る、類…」
「あい…」

ようやく少し緩められた腕の中で、それでも離してはもらえなくて…

「俺、人生で最高の誕生日かも…牧野が…つくしが俺を好きだって言ってくれて…
あ、でも万年筆も嬉しいよ。牧野だと思って肌身離さず持ってるようにするよ」
「……えっと…」
「チューリップもありがと。あの時を思い出した。牧野と俺の想い出だものね」
「憶えててくれた…?」
「当たり前…ねぇ、じゃあさ、牧野、あらためて俺と付き合ってくれる?」
「は、はい…よ、よろしくお願いします」

顔を上げるとそっと類の手が頬を挟み込み、綺麗な顔が近づいてくる。
そっと触れるだけのキスが唇に落とされる。
啄むように何度も何度も角度を変えて…少しずつ深くなるキスに頭が朦朧としてくる。

ようやく唇が離され息も絶え絶えになったあたしの耳に類の低い声が響く。
「ねぇ、もう一つ誕生日プレゼント強請ってもいい…?」
「な、なに…を…?」
「だって俺、何年も待ったんだよ…ご褒美に、さ…」
「だ、だから…何…?」
「つ・く・し」

/////////っ!!

「いいでしょ…?」

心の準備が…など思う隙もないほどの類の猛攻に、あたしは思考能力を失い、いつしか類と溶け合っていった…


―今日、花信風が木蓮の開花を知らせる…
 その風のようにこれからも二人に
 人生が花開く便りが届き続ける―


Fin

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*****
イメージ曲はタイトルにした
『二十四番花信風』です。



まったりして頂けると幸いです。

まーこ


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