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Live to tell 51


待ち合わせ場所に佇むジャンディに声を掛け近づく俺達の様子に
「ジュンピョは…?何かあったの…?」

本当に他人の気持ちには人一倍聡いよな、ジャンディは。
イジョンはジュンピョに対する怒りが未だ治まらず不機嫌な表情のまま。一方のウビンはジュンピョを取り巻く環境の激変を理由に庇っている。
俺はというと、黙ったまま無表情を貫いていた。

「…会いたくないって…?」

ジャンディの漏らした言葉にイジョンもウビンも驚きを隠さない。
「おまえ…」「分かっていたのか…?」
コクリと頷き、
「そんなに心配しないで下さい…どんな言葉でも直接聞くために来たんだもの…」

無理やり笑顔を作ってそんな事を言う君を見て、俺の心がどれだけ締め付けられていたと思う?

ウビンが気分を変えようとかくれんぼを提案した。昼間購入したベネチアン・マスクを着けて人気の無くなった真夜中のテーマパークでかくれんぼ。
パーク内のヴィジョンに映るジュンピョの姿にマスクの下で涙を流し肩を震わせるジャンディ。
強がっている事なんて解り切っていた。だから放っておけなかった。
俺は彼女を後ろから抱きしめていた。俺が傍に付いていると知って欲しくて…


その夜、俺はジュンピョを呼び出した。

「友達として頼む。一度だけ会ってやってくれ」
「なんで俺が?」
「友達として頼んでるんだ」
「なんでお前が頼むんだ」

「…今、俺に出来る事は…これしかないから…」


そう、今の俺に出来る事はこれぐらいしかなかった。
それとジュンピョの本心を知りたかった。
俺がアイツにやる最後のチャンス。
お前が本当に彼女を手放すなら…俺は…


明け方、ジャンディを起し、ジュンピョとの約束の場所へと誘う。
彼女にジュンピョが待つ場所を示し、俺はその場を後にした。


二人の間に躱された会話がどんなものだったか、俺は知らない。
けれどジャンディの姿を見た瞬間、結果は明らかだった。
項垂れてぽつんとベンチに座る君を笑顔にしたかった。

俺は彼女を一日中連れ回しジュンピョの事を考えさせないようにした。
こんな時なのに君が笑顔を見せてくれるだけで俺は心が弾んで嬉しかった。
途中立ち寄ったブランドショップで靴に見入るジャンディ。気に入ったのかな?
サーカスにも連れて行った。

ホテルに帰るとイジョンとウビンは用ができて先に帰ったと伝言があった。
どうする?と彼女に訊ねると、もう帰らなきゃと言う。
二人で翌日帰国を決めた。



*****
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Live to tell 50


ジャンディの肩が二度と泳げないダメージを受けていたことを知ったウビンもイジョンもショックを隠せなかった。

ジャンディの前では明るく振舞っていたが、彼らなりに思うところもあったと思う。
帰って来ないジュンピョを訪ねて行くと決心したジャンディを俺たちは応援した。

そしてマカオへ出発する日、ジャンディは俺を訪ねてきて空港までの見送りを断りこう言った。

「マカオに行く前に話したくて…今日を逃したら言えそうにないから。先輩に会えて本当に良かった…行ってきます」


全てが夢のように無かったことになってしまいそうだと寂しげに笑うジャンディ。

「夢じゃない。夢なら苦しまない」
俺は思わず否定していた。そして言うつもりもなかった真実を話していた。

「君を送った後…何も手に着かなくて…気付いたら来ていた」

ホテルの部屋のフィックスガラスの外を見たまま
「だから…夢じゃないよ。今君は…俺の前にいるから…」

*

ジュンピョの本心を確かめたかった。
チョン室長の計らいで殺人的なスケジュールに忙殺されるジュンピョと会うことが出来た。

「よう」「元気か?」「久しぶり」
俺達の声に「来たのか?」と答えるジュンピョ。

「神話グループの後継者にはこっちから出向かないと会えないだろ?」
にこやかに語りかけるイジョンにニコリともせず「嬉しいぜ」と答えるジュンピョ。

俺の口を吐いて思わず本音が出る。

「本心か?そうは見えない」

気遣いのウビンが「どうした?久しぶりに会ったのに…」
空気を換えようとイジョンが告げた。

「ジャンディも一緒に来てる。いや、彼女が先だった。まだ会ってないだろ?」
「なんで俺が合わなきゃならない?」

その言葉に俺は黙ってジュンピョを睨んでいた。

「何だと…?」イジョンの顏から笑顔が消えた。
「もう俺とあいつは関係ない」
「ク・ジュンピョ。わざと一度も彼女に連絡しなかったのか?」
「そんなことに気を回す暇もなかったしな」

「そんなこと?」思わず俺の口から洩れた言葉…

ウビンでさえも顔色を変えた。「本心か?」

ジュンピョは表情一つ変えず俺達に言い放った。

「そんな話をしに来たのか?」

真っ先にイジョンがキレた。

「それでも男か!」
「なんだよ…お前らだって女と遊んでるだろ?同じだよ」
「お前みたいなやり方はしない!」

ジュンピョに掴みかかろうとするイジョンをウビンが止める。

「放せ!最後まで責任を取るのが男だと、おまえは俺達に言ったよな?」
「信じてたのか?まさかお前ら、俺とあいつが最後まで行けるとでも思ってたわけじゃないだろ?」
「っ…この野郎!!」

ウビンを振り切りイジョンがジュンピョの襟足を掴んだ。

「クム・ジャンディは泳げなくなったんだぞ!!」
叫び終わるが早いか、イジョンの拳がジュンピョの顔に入る。

落ち着け、とウビンがイジョンを宥めるが、イジョンの気持ちは収まる気配はない。
「落ち着いてなどいられるかっ!!」

「最初から解ってたはずだろ?デカい口叩きやがって卑怯な男だ!!」
「何だ、てめぇら…あの女の騎士にでもなったか?」

蔑んだようなジュンピョの冷ややかな声にさすがのウビンも目を見張る。

「ジュンピョ…」
「大人しく遊んでろ。あの女の話をする気ならとっとと帰れ」

悲しげなウビンの声が響く。「おまえ、変わったな…」

「70万…」
ボソリと聞こえてきたジュンピョの声。
「神話の名の下…俺の肩にのしかかってる…社員と家族の数だ…70万人を背負って見ろ。変わって当然だ…」

それだけ言い残してジュンピョは去って行った。



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Live to tell 49


気付いてやれば良かった…
なぜ、ジャンディがジュンピョに嘘を吐いてまでモデルのアルバイトをしたのか…
ジャンディがジュンピョに終わりにしたい…と告げたその言葉の後ろにあったことを…


ジュンピョの母親は圧力だけでなく、イ・ジェハのジュンピョに対する憎しみまで利用し、ジャンディを追い詰めた。

その結果、ジュンピョもジャンディも怪我を負うことになってしまったこの騒動は、二人の仲を元に戻し、俺達がほっとしたのも束の間、さらなる試練が待っているとはこの時想像していなかった。


ジュンピョの母親と対峙したジャンディを迎えに行き、家に連れてきてホットケーキを焼いてあげた。彼女を放ってはおけなかった。
笑顔になった彼女をスキー場に連れて行った。
そこにはジュンピョと親友たちが待っていたから。

そしてジュンピョはジャンディに世界でただ一つのペンダントを渡した。
ジュンピョが自分でデザインした『月を抱いた星』のペンダント…

そのペンダントの所為で彼女が吹雪の山に行ったと知った時、俺は居ても経ってもいられず飛び出そうとしてウビンとイジョンに止められた。
まんじりともせず夜を明かして、ジュンピョが彼女を庇うように抱きかかえて戻った時、俺が助けに行きたかったのだと心の中で歯噛みした。

*

その日、ジュンピョの父親、神話グループ総帥が中国で倒れ危篤のニュースが国内を駆け巡った。
そのニュースをテレビで見ていた俺に1本の電話がかかって来た。

俺は待ち合わせの場所に座るジャンディをバイクに乗せ事情を説明しながら空港へと急いだ。だが空港まであと少しのところで、無情にも神話のプライベートジェットが離陸していくのが見えた。
まだ何も伝えられていないのに…そう言って涙を流すジャンディを胸に抱きしめる事しか俺にはできなかった。


そのままジュンピョの父親は帰らぬ人となり、神話グループ後継者として仕事をせざるを得なくなったジュンピョもそのまま帰っては来なかった。

そして―――
気付けば半年の月日が流れていた。

俺達は大学生となり、ジャンディも高等部の3年生になっていた。
クリーニング店を続ける事ができなくなったジャンディの家の経済状態は相変わらず苦しく、両親の就職もままならない状態が続いていた。
彼女の両親がスアム・アートセンターの清掃業務員に応募している事を知った俺は、財団の室長に頼んで俺の名前が出ないようにしたうえで雇用するように頼んだ。

もう一つ気がかりがあった。
この頃ジャンディの肩の調子がおかしいことに気付いていた俺は、プールから上がるジャンディの腕をわざと大きく引き上げて見た。
案の定痛がるジャンディを問い詰めた。
「病院にまだ行ってないの?」

行ったけれどなんともないと言われたというジャンディの言葉を俺は信じなかった。

後日、彼女を呼び出して病院に連れて行き精密検査を受けさせた。
その結果は…
『治療すれば生活に支障はないが、水泳はもうできない』

ジュンピョを庇って受けた傷が元で、ジャンディは目標を失った。
自分には何も目標が亡くなったと涙を流す彼女…
堪らずその涙を自分の手で拭いながら俺は話しかけていた。

「手伝うよ…俺が手伝う。一緒に探して行こう」



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Live to tell 48


テレビ画面に流れるクラシック・コンサートを鑑賞している俺に、ジュンピョが愚痴り続けている。

「理解できるか?デートにトラウマがあるのか、誘っても必ず逃げる。
平日はバイト、休日は友達。予定がぎっしりだ。バイトが多すぎる。
牛乳配達に新聞配達…配達が好きなのか?
休ませてやろうと思ったのに…恋人より友達優先だとさ…」

散々愚痴ったあと、ジュンピョはふて寝を決め込んでしまった。

そのままビデオを観て完徹した俺は、ふと気にかかってジャンディのバイトの配達コースへと向かった。
そして…俺の目に飛び込んできた光景は…
見知らぬ男と楽しげに配達をしているジャンディの姿だった。

彼女の前を塞ぐようにバイクを止め、ヘルメットのバイザーを上げる。

「先輩…」嬉しそうに笑顔を向けるジャンディ。

「ユン・ジフ先輩ですよね。俺は…」
彼女の傍に居る男の声を無視し、俺はジャンディに話しかけた。

「元気?変わりはない?」
無表情な俺の声にジャンディが戸惑いながら「はい…」と答える。

「昨夜ジュンピョが来た。“カウルに負けた”って愚痴ってた」

それだけで俺が彼女の嘘に気付いたことが分かったのだろう。彼女は気まずそうに口ごもる。

「それは…」

「今日のことは…見なかったことにする」
それだけ告げて俺はその場を去った。


真実を隠そうとしてもいずれは綻ぶ…俺が見ないふりをして隠そうとしたことは、最悪な状況で露見していく。

「ジュンピョ先輩、これ見ましたか?」
F4ルームにジュンピョのシンパたちが押しかけてジュンピョに雑誌を差し出した。

その雑誌には男性モデルと一緒に映るジャンディの写真。
ウビンもイジョンもそして、もちろん俺もそれを目にした。

「…クム・ジャンディか?」
ウビンの声にジュンピョが雑誌を床に叩き付け、やおら立ち上がるとシンパたちを突き飛ばしながら部屋を出ていく。

ジャンディがなぜ嘘を吐いてまでこんなことをしたのか、ジュンピョには解っていなかった。いやあの頃の俺たちも解っていなかったんだ。経済的な困窮と言うものを知らなかった俺達には…そう言うことに思い至ることもなかったんだ…
今なら解る。あの男が言ったことは正しかったのだと。

「ヤキモチなんか妬く前に…彼女の状況を考えたら?」

アイツの言葉の意味を解ろうともせず、ジュンピョはあいつに殴り掛かった。
ジュンピョに殴られ血だらけになりながら、アイツはジュンピョに言った。

「あんたみたいな人に彼女はもったいない!」

狂ったように殴り続けるジュンピョにジャンディが叫ぶ。

「やめて!!」

掴んでいた男の身体を離し、ジャンディに向かって歩きはじめるジュンピョ。
そのジュンピョにジャンディは話を続ける。

「私を助けてくれた人なの。ここでは…唯一心が通じる友達よ」
「はっ!友達?」

次の瞬間、ジュンピョがジャンディの襟元を掴み上げた。
「もう一度言え!奴が何だって?」
「…苦しいわ…」
「言えよ!」
「疲れたの…もう…終わりにしたい…」
「クム・ジャンディ!!」
「F4やあんたを…もう忘れたい…」

ジャンディを離したジュンピョはただ黙って唇を噛み締め、やるせない表情で背を向けると歩きはじめる。ウビンとイジョンがジュンピョを追う。
“F4やあんたを忘れたい”頭の中でジャンディの言葉がこだまして、視線を彼女から無理やり外し俺もその場を後にした。



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負けず嫌い?

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久々に『類つく』短編UPのお知らせ

いつもご訪問頂き、ありがとうございます。

久々に類つく短編をUPします。
更新は9月21日午前6時です。

ちょっと筆者が壊れておりますので、危篤な方のみお越し下さい。


それと遅くなりましたが、被災地の方々に慎んでお見舞い申し上げます。


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Live to tell 47


神話学園の誰もいないコンサートホールで俺は一人ピアノを弾いていた。
ホールの扉が開いて人の入って来る気配を感じて演奏を止めて振り向くとそこにジャンディがいた。

「チケットはあるの?」

ジャンディはふっと笑って
「こんな遅くに何をしてるんですか?」
「君こそ何をしてるんだ?水泳って冬季オリンピックだっけ?」
「私は…ただ…」

答えに困って苦笑するジャンディ。だからふざけた様にわざと声を明るくした。

「気晴らし?
チケットが無いなら楽譜をめくって?」

笑顔になった彼女がステージに上がってくる。

それからジャンディにピアノを教えて二人で連弾した。
楽しそうに鍵盤を弾く彼女の横顔を見ていると、俺の顏も自然と笑顔になっていた。
穏やかで安らぐ時間…いつまでもこの時が続けばいい…


彼女を乗せて家まで送り届ける。
バイクを降りてヘルメットを俺に返したジャンディがじっと俺の顔を見ている。

「なんでそんなに見るんだ?」
「何だか…不思議で…」
「何が?」
「心の非常ベルが鳴るといつも先輩が現れる…」
「非常ベル…?火事の時に鳴るやつ?」

コクコクと頷くジャンディ。

「やらせて」
「何を?」
「ジャンディの名誉消防士」

途端に咲き誇るような笑顔がこぼれた。俺の好きなジャンディの明るい笑顔…

「今日は送ってくれてありがとうございます。気をつけて帰って下さい」
そう言って、彼女は家に入って行った。

*

ジュンピョの母親の事は解っていたはずなのに、俺達はうかつだった。

ジャンディの父親のクリーニング店が立ち退きを迫られ、ジャンディはアルバイトを増やした。彼女のアルバイト先を知る為にイジョンに彼女の友人から聞きださせた。
ジャンディは深夜のガソリンスタンドでもバイトをしていた。

最初はバイクで乗り付けた俺に気付かず、明るく接客するジャンディ。俺が目の前に缶コーヒーを差し出すと、大きな目を丸くした。

「眠くて死にそうだったの。ありがとう先輩」
「無理しすぎなんじゃない?」
「なに言ってるんですか?私は韓国庶民の代表、クム・ジャンディですよ。体力と根性だけが取り柄」
「ウソつき」

ツゥッと流れる鼻血が彼女の嘘を物語る。

「体がウソだと言ってる」
俺はポケットからハンカチを取り出し彼女の鼻元をそっと拭いた。
ティッシュならあるからと固辞する彼女に構わず拭いていると、静かになり黙って俺にされるがままになっていた。

「胸が痛む…」

彼女の表情が俺の表情を写し、思わず漏れた俺の本音を誤魔化すように付け加えた。
「俺がジュンピョなら…胸が痛むだろうな…」

「あいつには話さないで下さい。自分の面倒は自分で見たいんです。胸を張っていたいから…」

「うらやましいな…ジュンピョが…」

湧き上がる思いを抑えて、じゃあとジャンディに別れを告げた。



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Live to tell 46


二人の交際は順調に見えていた。
ジャンディのジュンピョを避けるような素振りを見て気になったんだ。
だから俺はジャンディに忠告した。

逃げるな。逃げるのは卑怯だと君なら言うよね?
逃げずにチャンスを掴め、と。

ジャンディはジュンピョの世界で一方的に振り回されて疲れると言う。

ジュンピョと君の世界は別々じゃない。
今俺たちも一つの世界に居る。
振り回されず君のペースに巻き込め。
それが君の特技だろ?

聞き終えてジャンディが、先輩ありがとう、またねと明るい笑顔を見せてくれる。
そうだ、君には笑顔が似合う。暗い顔なんて似合わない。
俺はほっとしてジャンディの後姿を見送った。

ポケットには今日も返しそびれたジャンディのミトンが入っていた。

*

2月14日、バレンタインデー。
その日てっきりデートを楽しんでいると思っていたジュンピョから電話がかかって来た。

―――神話コールの代理店から帰るジャンディを迎えに行って送って欲しい、と。

代理店からジャンディの家までの道を、彼女を探してバイクを走らせた。
歩道に蹲る彼女を見つけた俺は努めて明るく声を掛けた。
「代行―運転です」

その声に顏を上げたジャンディの視線が俺を捉える。
驚きに目を見開く彼女に心からの笑みを送った。
俺の背中でジャンディが訊ねる。
―なぜわかったの?
―言っただろ?代行運転だって
―えっ?
―ジュンピョに頼まれた

ジャンディを家の前まで送り届け、ありがとうと言うと背を向けた彼女に俺は告げていた。
「何かあったら話して」
「何が起きるんですか?」
「ないといいけど」
「何も起きないですよ。あいつとは深い仲でもないし…気をつけて」

意地っ張りな君は一人で抱え込んで他人に助けを求めない。俺はそんな君の事が誰よりも解っているから心配なんだ。

家に入る彼女を見届けて帰ろうとした時、ハンドルに掛けたままの紙袋に気付いた。
おそらくはバレンタインのプレゼントであろうそれを、追いかけて返す気にもなれずそのまま持ち帰った。

*

翌日、昨日持ち帰った紙袋を開けて見る。
ラッピングされた箱の中には顔を模った手作りのチョコレート。
一目見て解った。これはジュンピョの顔だ―――

クスリと笑いが漏れる。その一方でジュンピョに対する羨望で一杯になる。

ふと外に目をやるとジュンピョの姿が見えた。
窓のすぐ傍で様子を黙って見ていたら、俺に気付いたジュンピョが酷く驚いていて笑いが漏れた。

俺に着いてリビングに入って来たジュンピョがテーブルに置いたままのジャンディのチョコレートを見て驚く。
「なんでそれが…」
「さあね?なんでかな?」
ほんの少し悔しくてジュンピョをからかいたくなった俺は、ジュンピョの顔をしたチョコレートを一つ摘み、ジュンピョに見せながら口に入れた。

「食うな!」
一言叫んで俺の食べかけのチョコレートを奪い取り、箱も奪い返した。


お茶を淹れていると庭を向いたままジュンピョがぼそりと話し始めた。
「不安だよ…あいつに何か起きそうで…」
母親にジャンディのことを知られた事は聞いて知っている。
あの人は俺たちでさえ息子の友人として認めない程の人だ。ましてやジャンディを受け入れるはずがない。ジュンピョの不安はもっともだと思える。

「一番怖いのは…あいつのピンチに…気付かないことだ…

いつもは強気なくせに、今は恐ろしく弱気なジュンピョに俺は気休めでしかない言葉しか吐けなかった。
「心配するな。ジャンディはヤワじゃない。知ってるだろ?怖がるな。俺たちがついてる」

ようやくジュンピョが笑った。




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Live to tell 45


その後が傑作だった。
ウビンとイジョンが悪乗りし一芝居打ったのだ。

ジュンピョの携帯を使ってイジョンがジャンディに電話を入れた。ジュンピョが事故で危篤状態だと。
神話病院に協力させ、病室に酸素マスクをつけてジュンピョを寝かせてスタンバイ。
血相を変えてジャンディが病室にやって来た。

特別室のドアが開く気配にイジョンとウビンが顔を作る。
前室を通り病室に入って来たジャンディにイジョンが沈痛な表情を向ける。
ベッドサイドに座るウビンがすがりつくようにジュンピョに声を掛ける。
「ジュンピョ、目を覚ませ。起きろよ、ジャンディが来たぞ!」

その姿に呆れてつい俺の口から溜息が漏れ誤魔化そうと横を向いたが、それすらも彼女には違って見えたらしい。
ウビンの芝居はまだ続いている。

「起きろよ!おまえー!!」

「嘘でしょ…なぜ突然こんなことに…一体何が…?」
ジャンディの目からは今にも涙がこぼれ落ちそうだ。

「おまえに会いに行こうと飛び出して行って…」
ウビンはご丁寧にグスングスンと鼻まで鳴らしている。
それまで微動だにせず寝たふりをしていたジュンピョが力尽きたかのように身体の上から手を下に滑らせた。

「ク・ジュンピョ。起きてよ…何してんのよ…?あんたとはケンカもしなきゃいけないし、教えることも多いのよ…目を覚まして!!」

悪乗りはまだまだ続く。
「一日中、落ち込んで急に謝ると言い出して…」
イジョンが声を落としてボツリボツリと語る。
「謝るのは私の方よ。ク・ジュンピョ、私が悪かったわ。あんたに嘘を吐いた…この間の夜、あんたに言わなかったこと、後悔してたのよ。ク・ジュンピョ、ねえ起きて」

―――そろそろ俺だけじゃなくイジョンも限界か…?

「言って欲しかったんでしょ?今なら言える気がするのよ。目を開けて!」
ジャンディがとうとう突っ伏して泣き始めた。

と―――
ジュンピョがパチリと目を開け酸素マスクを外したかと思うと
「それ、マジか?」

ジャンディが驚いて飛び起きると限界を迎えていた俺たちも耐え切れなくなり大笑いしてしまう。
「よっぽど驚いたんだな?足元を見ろよ。良かったなジュンピョ」とイジョン。
「外は例か10度だぞ。マジで感動ものだ。今死んでも本望だな?」とウビン。
「先輩~!」
泣き顔のままで怒るジャンディに俺も声を掛けた。
「ごめんよ。2人が強情だからさ」

調子に乗ったジュンピョは
「早く言えよ。ほら“今なら言える気がする”って」

途端に二人のケンカが始まった。もっとも俺達にはじゃれあいにしか見えないが…
治まるところに治まった二人を残し病室を出て、これで良かったんだと俺は自分に言い聞かせていた。



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Live to tell 44


『リンクで待つ。勝負しようぜ』

親友3人にメールを送り言葉通りあいつらをアイスホッケーのリンクで待っていると、ウエアに着替えた3人がリンクに入って来た。

ジュンピョの言葉はとげとげしい。
「何の用だ。楽しくデートでもしてろよ」

返す俺の言葉をウビンとイジョンが固唾を飲んで聞いている。
「そうだね…そう願ったけどつまんなくて逃げてきた」

何だと?と呟くジュンピョに向かって俺は嘲笑うように続けた。
「軽いんだよね。勝気なのは見かけだけだった」

「ジフ、おまえ変だぞ?」
ジュンピョ程単純じゃないウビンには解ってしまったみたいだが、ここで本心を見せるわけにはいかない。俺はしらを切り通す。

「家まで簡単について来た」
「よせ」とイジョンの声。だがそれも無視だ。
「俺も一瞬揺れたけど…暇つぶしレベルだった」
―――来い、ジュンピョ。本音を吐き出せ!

「てめぇ、この野郎!」

よしっ、掛かった。来い!

頭に血が上ったジュンピョにタックルを食らわし倒す。
気遣うウビンとイジョンを押しのけ、立ち上がって俺に向かって来る。
何度も俺に躱されジュンピョはどんどんヒートアップしていく。

―――頃合いか?
そう思った時、突っ込んできたジュンピョのタックルをまともに受けた。
倒れた拍子にヘルメットが脱げた俺にジュンピョが圧し掛かり、怒りを込めて俺の顔を殴りつける。

「もう一回言ってみろ!」
口の中が切れて鉄の味がする。でも…まだだ、もうひと押し。
「いい暇つぶしだった」
締め上げられた喉から辛うじて声を出す。

「この野郎!!」
ジュンピョが拳を振り上げた。

食いしばった歯の間から声を振り絞る。
「おまえは関係ない!」
―――本心を吐け!ジュンピョ!!

「あるんだよ…関係なくてもあるんだ!」
絞り出すように言いながら、繰り返し繰り返し俺を殴り続けるジュンピョ。
ウビンとイジョンが見かねてジュンピョを羽交い絞めにして止めに入る。

「邪魔するな!放せ!あいつを傷つけたら…友達だろうが許さねぇ!!」

―――やっと言ったか…
「それなら…先に…そう言えよ」

やっとのことで起き上がり口の血を拭いながらジュンピョに言ってやる。
「彼女のこと、諦められないんだろ?…ここまでさせるなよ…」

「こ…の、イカれ野郎…」
吐き捨ててジュンピョはリンクを出て行った。

イジョンとウビンが俺に手を貸し起こしてくれた。
「少しやり過ぎだぞ」
「最初に言えよ」
「貸しがあるんだ。あいつにロボットを壊された」
二人の心配そうな声に俺は笑って答えると、俺の肩に手をかけて二人も笑っていた。


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Author:まーこ
花より男子《日本版:類つく、韓国版:ジフとジャンディ》や韓国ドラマの二次小説を書いています💕

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