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生きていく意味 ―アゲハ…その舞い降りる先に― 52



屋外の薪の置き場へと向かうと降りはじめた雪が強くなってきていた。
「エアコンの方が面倒でなくていいのかも知れないが、私は火の温もりが好きでね」
慧の言葉は類に聞かせると言うよりは独り言のようだった。

薪をその腕に1本また1本と抱えていた慧の様子が突然変わった。
「…うっ…」
急に胸を押さえて呻いたと思うと抱えていた薪がその腕からバラバラと足元に落ちる。
「父さん!!」

普段聞いたことのない類の大声につくしと美緒、使用人たちも声の方に駆け付ける。
類が倒れた慧を胸に抱きかかえ声を掛け続けていた。

「あなたっ!!」
「お父様!」
美緒とつくしの声に胸を押さえながら苦しそうに慧が答えた。
「大・丈夫・だ…しばらく・すれば・おさ・まる…」
その言葉につくしが反応する。

「お父様、これが初めてじゃないんですか?」
「…あ、ああ…」
「類、お父様を病院へ」
「わかった。慧清病院へ。あそこならうちの系列だから外部に漏れる心配はないから」

発作が少し治まってきたのか、慧が反論する。
「私なら大丈夫だ…大げさにするな…」
だがこの時ばかりはつくしが引き下がらなかった。
「ダメです。このままにしてもしお父様が倒れられたら、お母様も類も苦しまれます。それに私も…私を花沢に受け入れて下さったお父様にこれからご恩返しをしたいんですから」

つくしの必死な言葉にかすかに困ったような笑顔を浮かべ、慧は頷いた。

運転手がいつものリムジンではなく、慧が横に成れるようにと用意した大型のラグジュアリー・ワゴンに乗り込み病院へと向かう。
病院は土曜の午後ということもあり外来患者の姿は既に無く、院長から職員への通達がいきわたっているのか極めて冷静に対応している。

出発前に類が連絡を入れていたため、院長が待ち構えていた。
「院長、時間外にすみません。宜しくお願いします」
「まずは診察をさせて頂いてそれから…」
院長がそう話している間にも初療室で医師が診察を始めていた。
自分が知っている限りの情報を事細かに話すつくしを訝りながら見ていた担当医だったが、その的確な情報により次々とスタッフに指示を出していく。

「これから検査をさせていただきますので、ご家族はしばらくお待ちください」
そう告げると医師はスタッフが搬送する慧が横たわるベッドに付き添い、放射線検査室へと向かった。
するとそこで院長が口を開いた。
「あの…もしや牧野先生、では…?」
そこでようやく院長に気付いたつくしが慌てて挨拶をする。
「あっ…申し訳ありません。出過ぎたことを…私の義父の事ですので、つい…」
だが院長は鷹揚に微笑んで咎めることはしなかった。

「ご心配はお察しします。家族を心配するのは医者であっても何ら変わることはありませんから… 医師は自分の家族を診ないことが鉄則ですが、本日の担当医は循環器内科が専門ですので、よろしければアドバイザーとして付いてやっていただけませんか? ご存じのように循環器系をこれから強化しようと言う矢先ですので…」

院長の申し出に類を窺いながらも遠慮がちにつくしは答えた。
「…そう…させて頂いてもよろしいのですか?」
「できましたらお願いします。彼にとっても良い経験になるでしょうし、あなたもご家族も安心されるのでは…?」


やがて放射線撮影を終えベッドに乗せられたままの慧が、看護師や担当医に付き添われて戻ってきた。
処置室に入る彼らの後に付いて院長も中に入って行った。


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自分も描いてみたくなって描いてみた

以前から描いてみたいと思いつつ、なかなか描けなかったのですが、ようやく手が少し動きました。

本当に、ン十年ぶりに描いたので、線がぎこちない❗
絵の具も色鉛筆(60色の)も片付け込んでて、出すのが面倒だし、取り敢えずモノクロで描いてみました。

社会人になった少し大人びた類のイメージで…

ン十年ぶりだと、なかなか思うように描けなくて…

お目汚しでスミマセンm(。≧Д≦。)m

ゆる~い👁️(目)で見てやって下さいね。

まーこ
201710291519493ad.jpg



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蓮のつぼみ28


クリスマスが近づいたある日、ジフ先輩に会ってキャンパスを歩いていると、朝から曇っていた灰色の空から、一片、また一片、雪が舞い始めた。
振り始めた雪はそのまま静かに降り続ける。
「先輩、降ってきちゃいましたね」
「うん、せっかくの初雪だけど、このままだと濡れるからラウンジに行こうか?」
…初雪…?
これはデートになるのかな…?
なーんて、何考えてるの、クム・ジャンディ!

一人赤くなって慌てふためいているあたしを見て、ジフ先輩が不思議そうに顔を覗き込んで訊ねてきた。
「ん? ジャンディどうしたの? 顔が赤いよ。熱でもあるのかな…」
そして先輩の手があたしの額に向かって伸びてくる。
咄嗟に身を引いてしまったあたし…
そんなあたしに先輩は困ったように笑いながら…
「…ゴメン…驚かせた…?」
慌てて顔の前で手を横にぶんぶんと振りながら必死に言い訳する。
「い、いいえ、あた、あたしこそ…ごめんなさい…あの、本当に…大丈夫ですから…」

F4専用ラウンジには当然のことながらあたしたちしかいなくて、先輩が暖かいミルクティーを手渡してくれる。
「あ、ありがとうございます、ジフ先輩…」
「冷えただろ? それ飲んで温まって…?」

あたしがミルクティーを一口飲んだのを確認して、ジフ先輩も一口含んで飲み下した。
あたしはジフ先輩から目が離せなくて、飲み下した時喉仏が動くのを“綺麗だな…”と主ながら見とれていた。
そんなあたしに先輩が視線を向けて、あわててカップに視線を落としてミルクティーに集中する。

「ジャンディ、クリスマスに食事に行かない?」
「えっ、ク、クリスマス?」
「そう、いつも頑張ってるからご褒美だよ」
「ご褒美、って…あたしペットじゃないんですけど…」
少し拗ねて見せたあたしにジフ先輩は柔らかく微笑みながら、
「ジャンディの誕生日はみんなでお祝いになりそうだから、クリスマスぐらいは俺に独り占めさせてよ」

…ドキンッ!!
あたしの心臓が大きく跳ねた。
“独り占め”だなんて…そんな…期待させないで欲しい…
まるであたしが先輩の“特別”みたいな言い方…

あたしの心なんてきっと知らない先輩…
「良いよね?」
あたしの大好きな笑顔で否定の言葉を強引に封じ込めた。



***
韓国では初雪の日にデートするとその二人は結ばれる、などの恋人にとっては縁起の良い言い伝えがあるようです。

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蓮のつぼみ27


ク・ジュンピョが有名な経済誌に載ったことで、国内で大きな話題になった。
ずっと何も連絡がなかったけれど、本に載ったあいつの姿は元気そうで、昔よりも精悍な感じになっていた。

活躍を喜ぶ気持ちの一方で何処か他人事のよう気持ちがあって、遠い話のような気がした。

そして約束の4年目が目前に迫っていることを今更のように思い出した。
その約束がずっと遙か昔のように思えて、あたしの中で遠く霞んでいる。

あれはただの夢だったんじゃないかって思う自分がいて、現実感が無くて…
もし、ク・ジュンピョが本当にやって来たらどうしよう?
あたしは一体どうするんだろうって、そんなことを考えてしまう。

あたしは一体どうしちゃったんだろう?
アイツが約束を守ってくれることを待っていたはずなのに…
この冷めた気持ちは何なんだろう…?

そしてあたしは考えることを止めていたことに向き合わざるを得なくなった。
カウルにも問いただされていた事。

《クム・ジャンディにとって『ユン・ジフ』とはどういう存在なのか?》

あたしがジフ先輩の事をどう思っているのか?という事…

先輩…? Yes
友人…? Yes
恋人の親友…? Yes

ジフ先輩と離れても…会えなくても平気? No
じゃあ、ク・ジュンピョとは…?  離れても、会えなくても…今はもう平気…

あたしはいつの間にか月と星のペンダントを仕舞い込んで身に着けなくなっている。

勉強の合間、バイトの合間のふとした瞬間、思い出すのはジフ先輩の事…
長い間、ク・ジュンピョの事は…思い出しもしなかった…

あたしは…初恋にサヨナラしたはずなのに…
ク・ジュンピョに恋したはずなのに…

ジュンピョはあたしとの約束の為に4年間頑張った。
でも、あたしの気持ちは4年前とは変わってしまっている。
そのことを自覚してしまった…

ジュンピョの彼女で無くなったら、あたしは先輩とは何の関わりも無くなっちゃうんだろうか?
同じ医の道を目指す者として、先輩後輩ではいられるのかな…?
でも先輩はF4、あたしは一庶民…普通なら口もきけない程の格差…

あたしはジュンピョを裏切っているのかな…?

考えれば考える程、頭の中で思考がグルグルと回るばかりで答えは出ない。
こんなことなら、レポートの方が数倍マシ。


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山田ミネコ パトロール・シリーズ

「マダガスカルでペスト流行」のニュースを読んで
思い出すのは「ハメルンの笛吹き」

そして私の中では、「ハメルンの笛吹き」と言えば、
山田ミネコのパトロール・シリーズ
「笛吹伝説―パイド・パイパー」なのです。
パトロールシリーズ[1]


久しぶりに読みたくなりました。

今はア○ゾ○でも入手困難そうで、
「あ~っ、処分しないで保存してて良かったぁ~」
と胸をなでおろしました。

山田ミネコのパトロール・シリーズと
最終戦争(ハルマゲドン)シリーズは
昔っから大のお気に入りです。
これらのシリーズも終わったのか終わってないのか…?

思えばこんなのばっかり気に入ってしまう。
あしべゆうほの「クリスタル・ドラゴン」もそうですし、
中山星香の「花冠」もまだ続いてるし、
「超人ロック」も作者が描けなくなるまで続きそう…
萩尾望都さまの「ポーの一族」もまた再開しちゃったし…

えっ? 何の話かって?
いや…基本まーこは漫画オタクって話でしょうか…?

あーっ、えっと、SFも大好きです。
エドガー・ライス・バロウズのターザン・シリーズ、火星シリーズ
フランク・ハーバートのデューン・シリーズ
アン・マキャフリィのパーンの竜騎士シリーズに
歌う船シリーズ
パトリシア・A・マキリップ、これはファンタジィかな?
アーシュラ・K・ル・グィンも良いですね。
その他、etc. etc.

日本人作家では何と言っても光瀬龍!
平井和正の死霊狩り(ゾンビ―・ハンター)も良かった。

この頃はスマホでもっぱら二次ばかり読んでますが、
昔は紙の本を読みまくってました。

皆さんはどうでしたか?

いつもご訪問ありがとうございます。
まーこ



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生きていく意味 ―アゲハ…その舞い降りる先に― 51




つくしが花沢の系列病院へ移ることを決心したことで、類の機嫌はすこぶる良かった。
結局、3人とも年度末で今の病院を退職し、新年度から慧清病院へ移ることになった。

患者の引き継ぎやら何やらで慌ただしい日々を過ごしていたつくしだが、患者の中には仁村のようにつくしについて慧清病院に転院したいと希望する者もいて、そう言った患者の転院の為のサマリー作成に追われた。

たまには完全オフ日を作りたいと、ようやく久しぶりに週末土日の休日を捻出したつくしに合わせて類も大野に無理を言ってオフをもぎ取っていた。

久しぶりの完全休日と言う事で、朝方まで肌を合わせていた為、目覚めると既に10時になっていた。
「もうっ、こんな時間まで寝ちゃった。今日はお父様とお母様が久しぶりにお会いする日なのに…」
「別に時間は約束してないからいいじゃん」
「そんなわけにいかないでしょ?」
「大丈夫だって」

そう言って類にニッコリと笑いかけられれば、もうそれ以上は何も言えない。
ブランチを摂って花沢本邸へと揃って出掛けた。

「まあまあ、類様、つくし様、お久しぶりでございます」
佐村が嬉々として出迎え、お元気でしたかと気遣うつくしに涙ぐんでいる。
「旦那様と奥様がお待ちかねですわ。さあどうぞリビングへ」
いそいそと先に立つ佐村について二人はリビングへと入った。

「よく来てくれたね。二人とも忙しくしているんだろう?」
にこやかに慧が声を掛ける。
「つくしさん、無理はしていない? 来て下さって嬉しいわ」
美緒も心底嬉しそうだ。
「お父様、お母様、お久しぶりです」
「誰のせいで俺が忙しいと思ってるの? お父さん、楽隠居はまだ早いと思いますが…」
類の嫌味などどこ吹く風で慧が答える。
「おまえが真剣になってくれたおかげで、私もようやく少しは楽をさせてもらってるよ」

つくしが加わったことで花沢家に家族団欒が戻っていた。
海外暮らしが多い類の両親とそれぞれ多忙な類とつくしにとっては、それは毎日の事ではなかったが確かに暖かな絆がそこに生まれていることは確かだった。

ふと窓の外に目をやった美緒が
「あら…冷えてきたと思ったら雪が降って来たわね」
両親とつくし、3人の和やかで楽しげな会話を一人黙って聞いていた類が珍しく言葉を挟んだ。
「そう言えば…寒波が来るって言ってたね…」

「少し薪を補充しておこう」
暖炉に目をやり慧が立ち上がる。
持ってきてもらえばと言う類に、こういう事が好きなんだよと自らリビングを出ていく慧に、やれやれと言う顔で類は付き従った。

「おまえまで付いてくることは無いぞ」
「薪の置き場所ぐらい知っておきたいだけですよ」
ふん…素直でないのはお互い様かと、ふぃっと笑みを漏らす慧だった。


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蓮のつぼみ26



ボランティアの時にジャンディに色々と小言を言った先輩と言う男は、調べてみるとジャンディと同い年で4年生だった。
予想通り外部入学で高等部からのもち上がりの人間ではなかった。
高等部からの内部進学なら彼女と俺たちF4との関係は知っているはずだから、下手に彼女に手出しはしないが、この辺が外部入学生の面倒なところだ。

結局、その後のボランティアではいつもそれとなく俺がジャンディの近くにいることで牽制していた。

こうした活動への参加で否応なく人と関わることが増えた俺が、変わって来たとハラボジが嬉しそうに評してくれる。
自分では解らなかったが、財団に行っても周囲とのコミュニケーションがスムーズになっているとハラボジが言う。
それに伴って財団での後継者としての俺の評価も上がっているというのだから、不思議な気持ちだったが悪いことではないので享受することにしている。


瞬く間に夏休みは終わり後期が始まっていた。
ジャンディは講義やレポートに追われ、俺は再び院外実習に出ていた。

穏やかで心休まる、相変わらずの俺たちの関係。
こんな日々が永遠に続くと…錯覚してしまいそうになる。
すっと一緒に…居られればいいのに…


木々が色づき、やがて枯れて舞い始める頃、ジュンピョが世界3大経済誌の表紙を飾り、国内でも大きな話題となった。
神話グループは2年前ジュニ・ヌナが会長に就任し、ジュンピョの母親は会長職を退いている。
ジュンピョは今は専務として世界中を駆け回り、次々と実績を残している。
その結果があの経済誌の記事に繋がっている。

多忙を極めているであろう親友からは未だ何の連絡もない。
それはジャンディのところにも同様の事だった。

それでも世界を駆け巡ったこのニュースは、まもなく4年が経とうとしている事を俺に思い知らせた。

ジュンピョが彼女を迎えに来る。
その時の為にあいつはこの年間を必死に頑張ったはずだ。

その時、ジャンディは…?
ジュンピョと一緒に行ってしまうのだろうか…?
それとも、大学卒業まではここにいるのだろうか…?



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【お気に入りの一曲】SS501のプリンス、ヨンセンのソロ曲


いつも拙宅ブログをご訪問頂きありがとうございます。

このところ、SS501のホ・ヨンセン(許永生)のソロ曲
『Crying』がツボに入ってます。
韓国語versionと日本語versionの両方がありますが、
どちらも大好きです。

実はこのMVでベンツにガルウィングがあることを初めて知りました。
調べて見たら日本円で2500万円ぐらいらしいです。

この歌もお話のネタにできないかな?などと考えている私です。

韓国語Versionの歌詞の内容は大体以下のようなものです。

***
Crying/ホ・ヨンセン 2nd mini album「SOLO」
和訳


もう二度と君に逢えないから
嘆き叫ぶ
ああ愛し人 僕の話を聞いて

最後に一度だけ
なにもできない自分のこと 分かってるけど
こうして僕はここで 最後の歌を歌うよ 君に

*1  [僕の両目の上に] 僕に残った傷 どうしたらいい
  [流れる僕の前の涙は] 君は戻ってきてくれないの?
君は僕の愛しい人 どうか行かないで

*2 僕の心の中に残った君なのに
君に出逢ったここで この場所で
まだ君だけを 僕は待ってる
もう二度と君に逢えないから
僕は叫ぶ

並木道を歩いたあの頃へ戻って
なにも知らなかった僕は 幸せだったけど
今は一人歩くこの道に残されたのは 君のいない僕

*1 Repeat

*2 Repeat

最後のこの瞬間くらいは 最後のこの一日くらいは
辛くないように また悲しくないように  今夜

もう二度と君に逢えないから
僕の心を壊した愛しい君
君は僕の愛しい人 どうか行かないで

*2  Repeat

僕の心は壊れてしまった もう君に逢えないから…

***

Crying【MV】 韓国語Ver.


HeoYoungSaeng Crying Japanese Ver. 日本語字幕付


どなたかお話書いて下さいませんか?
(また他力本願かよ?)

まーこ



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生きていく意味 ―アゲハ…その舞い降りる先に― 50



結婚式と披露宴も終わり再び日常が戻ってきた。
お互いに忙しい身である為、ハネムーンはしばらくお預けとなったが、それでも公にしたことでウザったい見合い話もなくなり、気分は上々の類だった。
そしてかねてよりの計画を実行に移すことにした。
勿論、表向きは類の意向だと言う事が分からないように…


式と披露宴も終わり、出勤したつくしに朱音が話しかけてくる。
「牧野先生、すっごい披露宴だったねー。顔触れにびっくりしちゃった」
「あ、西先生。お忙しいのに来ていただいてどうもありがとうございました」
「いーの、いーの。でもあまりにも錚々たる顔ぶれでもう気後れしちゃって、挨拶もせずに帰っちゃってゴメンね」
「せっかく来てもらったのに…こちらこそごめんなさい。お世話になった方や古くからの友人たちに捕まっちゃって…」
「気にしないでよ。経済界の人は新聞やニュースで名前を知ってるくらいで良く解んないけど、ドクター・ノーマンやドクター・ライツならあたしだって解るわよ。本当にすごいのね?」
感心しきりの朱音につくしの答えは相変わらず控えめだ。
「たまたますごい幸運に恵まれただけだよ。留学先が良かったんだね。ハハッ」

そんな会話をした日から1週間ほどが経った頃、つくしは朱音から相談があるからと誘いを受けた。
ちょうどその頃、教授が別の病院に移るのではないかという噂が流れ始めていた。
類が話していた事を思い出しつくしはもしやと思っていた。
久しぶりの朱音との食事の場でそれは確信に変わった。

「あのね、あたし慧清病院からうちの病院に来てくれないかって打診受けたんだ…」
「えっ、そ、そうなの? で、どうするの?」
「正直、気持ちは動いてる。今の職場も良いけど古い考えの人もまだいるし…でね、向こうの病院の人に牧野先生にもそれとなく打診してもらえないか…っていわれてね…」
少し言い辛そうに語る朱音に対して、つくしは屈託なく訊ねた。
「ねえ、もしかして、教授の噂も同じ病院?」
「あたしも直接は知らないけど…そうらしいわね」
「西先生と教授はともかく、あたしはまだこの病院に入ってまだ1年だよ? 今変わったりするなんて許されるのかな?」
あまりにも日本的な考えに朱音がクスクスと笑う。
「花沢先生ってアメリカが長かったなんて思えないとこあるわね。向こうは実力主義、自由主義でしょ? まあ所詮医者なんて浮き草稼業じゃない? あっちの病院、こっちの病院、って。開業でもして一国一城の主にでもなるなら別だけど…」
「ああ…それもそうか…」
「じゃ、一度向こうの人の話聞いてあげてもらえる?」
「うん、聞いてみる」

そんなやり取りを朱音としてすぐに慧清病院の事務長と会う機会をセッティングされた。
その病院はやはり花沢系列の病院であり、朱音だけでなく教授もヘッドハンティングされて移籍が決定したことから、つくしも移籍を決意したのだった。

『類の思惑に乗るわけじゃなくて、心臓系の強化にやりがいを感じたからよ』と自分自身に言い訳しながら…



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蓮のつぼみ25


バスは辺鄙な田舎の村落に到着した。
前日から現場に先乗りして準備がされており、医師、医学生からなるボランティアは待ちかねていた村人の診療を開始する。

俺たちはまだ医学生だから直接診療することはできないため、医師についてサポートや雑用をこなす。
医師と学生のグループ分けがされていて、この日俺とジャンディは別のグループになってしまった。

昼の休憩時間、ぼんやりと木陰のベンチに座り仰向いて目を閉じていた俺は、近づくジャンディの気配を感じて薄っすらを目を開ける。
「…来たの…?」
俺の声に彼女はへへっと笑いながら、隣に腰を降ろした。
俺は身体を起こして彼女の方を向いた。
「お疲れ…どうしたの? 何かあった…?」
「また…怒られちゃった…あたしがミスしちゃったんだから当然なんですけど…でもあんな言い方しなくても…って、つい思っちゃって…
こんなことでへこたれてちゃダメですよね。アハハ、しっかりしなくちゃ」
「医者に言われたの?」
「うぅん、先輩に…今朝もバスの中で怒られた先輩…」
「ふーん…まあ、これからはミスしないようにして見返してやるぐらいの気持ちを持てば…?」
「そうですよね、その方があたしらしい。うん! 頑張ります!」
「頑張りすぎないようにね」

俺の中でその学生は完全に要注意人物になった。
―――一応、調べておいた方が良いか…?―――


その日の帰り、俺はジャンディの手を掴んで見せつけるようにバスに乗り込んだ。
ジャンディにはそれと気づかれないように
「ほら、ジャンディ、さっさと俺の後に続いて乗り込んで。後の人が乗れないから…」
わざとそんなことを言いながら。
素直なジャンディは疑いもせず、
「あっ、すみません。ジフ先輩ありがとうございます」
そんなことを言いながら周囲にペコペコとお辞儀をしている。


バスがソウルに向けて走り出してしばらくすると、ひどく疲れたんだろうジャンディがコクリコクリと居眠りを始めた。
そっとその身体を傾け、俺の肩に彼女の頭を乗せる。
彼女は気づかず、すやすやと眠り続ける。
いつしか俺も眠ってしまっていた。

ソウルに到着すると、目を覚ましたジャンディが慌てて俺を起こした。
俺はまだ寝ぼけていて、
「……な、に…安眠妨害…?」
「先輩、着きましたから起きて下さい。それとごめんなさい、あたし先輩に寄っか買っちゃってたんですね…」
ああ…そうか、バスに乗ってたんだ。着いたのか…?

「ん…気にしなくて良いよ。俺もジャンディに寄っかかってたし…。降りようか?」

ボランティアの参加者はここで解散。
「じゃあ、先輩、お疲れ様でした」
そう言って帰ろうとするジャンディにようやく完全に覚醒した俺は、
「あっ、ジャンディ。送ってくよ」
慌てて声をかける。
良かった自分で運転してきていて。バスの中で眠ってしまったら運転手に連絡が間に合わないもんな。
近くのパーキングに車を置いている事を告げると、それならとジャンディは俺に従ってくれて、無事に彼女を自宅に送り届けてその日は別れた。



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Author:まーこ
花より男子《日本版:類つく、韓国版:ジフとジャンディ》や韓国ドラマの二次小説を書いています💕

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