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生きていく意味 ―アゲハ…その舞い降りる先に―  9

その後のつくしは急にあわただしい日々を過ごすことになった。
学会が終わるとすぐに類によってマンションに連れて行かれ、病院の職員寮を辞退すると連絡を入れなければならなかった。
寮に送っていたわずかばかりの荷物を引き取りに行くのは、どこか後ろめたさを感じたが、久しぶりの帰国で「しなければならない事」の山にさして気にもしていられなかったのが幸いだった。

花沢物産副社長である類は当然のことながら忙しい日々を送っているが、つくしもすぐに病院での勤務が始まり忙しい日々が始まった。
男女同権、雇用機会均等法などと言われて久しいが、アメリカとは違い、日本には未だ男尊女卑が根底に残る人もいることも事実で、女医というだけで正当に評価されない場合もある。
その点、この大学病院の教授は性別や年齢に関わらず正当な評価を下すことで有名だった。
だからこそドクター・ライツもつくしを紹介したのだった。
しかし旧態然とした人間はどこにでもいるもので、最先端の大学病院に於いてさえ例外ではなく、つくしの事を良く思わない者もいるのだった。

転勤後、初めて参加する症例カンファレンス。
「この患者のIEについては抗菌薬投与が奏効して炎症値は下がってきている為、週明けにOPを予定しても問題ないのでないでしょうか?」
「ふむ…CRP、WBC、β-D-グルカン、D-ダイマー…感染症に関してはほぼ問題ないレベルまで落ち着いているようだね。牧野先生、どう思うかね?」
「あっ、はい。データがここまで落ち着いていればOPに踏み切っても問題はないと思われます。あとは術後の為の予防抗菌薬についてですが、クリニカルパス通りにVCM投与でよいかと思われます」
「うん、私もそう思う。このOPの助手には入院主治医の坂木先生の他に牧野先生も入ってもらおう」
「わかりました」
「待ってください、教授! どうして牧野先生なんですか?
まだ転勤してきたばかりの…しかも、女医に! 僕の担当患者のOPに入らせるなんて、いくら教授のお言葉でも納得いきません!」
「君が反対する理由は、牧野先生がまだ新人だからか? 女性だからか?
牧野先生はこの病院には赴任されたばかりだが、アメリカのドクター・ライツやドクター・ノーマンの下で研鑽と実績を積んでいる。そして彼女は赴任後すぐにこの病棟の入院患者全てのカルテを読んで病状を把握しているよ。それでも不充分かね?」
「で、ですが…」
「古い考えや上っ面を見るのはやめたまえ。医者の実力は年齢や性別で決まるものではない。
加えて言うなら、アメリカでは牧野先生のOPは『凄腕』として通っていたそうだぞ」
「教授…それは、大げさすぎます…」

つくしが慌てて否定するが、教授は楽しげだ。
その後のカンファレンスは特に問題もなく終わり解散となってカンファレンスルームを三々五々出てゆく。

「牧野先生。なかなか話すチャンスがなかったけど、話したかったのよねー。私、西朱音(あかね)。あの坂木先生は女医に偏見持ってんのよ。今時バカじゃない?って思うわ。
気にしないで良いわよ。心外の女医はまだ少ないから仲間ができてうれしいわ。よろしく」
声をかけてきたのは30代半ばぐらいの女医。
「あ、牧野つくしです。よろしくお願いします」
「赴任してきた時って、最初院内規定のオリエンテーションだの何だので忙しいじゃない? どお、ちょっと落ち着いた? でも教授が言ってたけど、すごいのね、いつカルテ読んだの?」
「2・3日目からオリエンテーションやら色々の手続きの合間に少しずつ…ちょっとでも早く慣れたくて…」
「ふーん。真面目なんだ。あっ、そうそう、職員寮に入る予定だったのを急にキャンセルしたってウワサだけど、どうしたの?」
「えっ、な、なんでそんなことまで…そ、それは、その、ちょっと、知り合いのその、ツテで住むところが見つかったので…」

急に挙動不審になったつくしにピンときた朱音が、
「もしかして…彼氏のマンション…?」
「……!!!」
「あははっ! 当たり? でもちょっと待って。今までアメリカだったんでしょ?
ということは『遠距離』だったの?」

ぶんぶんと首を横に振るつくしに
「えー? じゃ、どういうこと? あっと、仕事しなきゃ。牧野先生、今度じっくりその辺、教えてよね。じゃあ、またね」

開放され、ほぉっとため息を吐くつくし。
―――まいったな。ちょっと、滋さんと似てる、かな…?―――


週が明ければ当直のローテーションに入ることになる為、今週中は帰れるときは早く帰っておこうと定時に帰宅準備をしていると、医局に入って来た坂木がつくしのその様子に気づき嫌味を浴びせる。
「さすがにアメリカ帰りはドライだな。定刻にはさっさと帰宅か」
元来、見た目ほど大人しい性格ではない。つい、
「今はまだ担当患者もいませんし、問題のある患者もいませんから。何かあれば、放っておいて帰宅するようなことはしません」

反撃されるとは思わなかったのか、一瞬たじろいだ坂木は、
「ふ、ふんっ! 口では何とでも言えるさ。 まあ、いてもいなくても同じだから、さっさと帰ればいいさ」

「お疲れ様でした! お先に失礼します!!」
ドアをバンッと閉めてつくしは医局を後にした。

―――ハァーッ! 下らないことで、疲れた…―――
こんな時は実力第一主義のアメリカが懐かしく思える。


*****



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月を無くした星【短編】

会長室のドアが開き、久しぶりに会う弟に笑顔で振り向いたジュニは、憔悴仕切った弟の姿に声を失った。
いつもあれほど活力に満ち、傲慢ともいえる程の自信に満ち溢れている弟と同一人物とは、とても思えない。
部屋に入り、無言でソファにドサリと長い足を投げ出して座ると、ハァーと大きく息を着いて、額に手を付いた。
「ジュンピョ。一体何があったの?
ジャンディは?」
「……」
「黙ってないでちゃんと話しなさい‼」
「…あいつは…俺を選ばなかった…」
「…それって…どういうことなの?」
「あいつは…ジフが好きなんだ…俺じゃなく…心のどこかで、こうなることが分かってた気はする…だけど…いざ目の当たりにするとやりきれねぇな…」
「…ジュンピョ…」
「姉ちゃん、俺、アメリカへ戻るわ…仕事でもしてねぇと、あいつにもジフにもヤな事言っちまいそうだ…」
「そうね…それがいいのかも…」


*

NYのジュンピョの屋敷。
「ジューン!」
騒々しい程の大声で呼ばわりながら、邸の奥へ奥へと何の遠慮もなく歩を進める一人の女性。
JKグループの一人娘、ハ・ジェギョンである。
ダイニングの扉をバァンと大きく開け放つと
「あーっ、ジューン。みぃーっけ!」
「…っ、モンキー! おまっ! 何で家に来てやがんだっ!」
「ジュン、ジャンディに振られちゃったんでしょ?」
「っ、てっ、てめぇ、人の傷口にカラシ塗りに来やがったのか?!」
「?? あっ! もしかして、『傷口に塩』って言いたかった?」
「うるせぇ! カラシのがキッツいだろうがよっ!」
「言えてるかも…ジュン、上手いね」
「だから何しに来やがったのかっていう、聞いてんだよっ!」
「んーっ! 今ならあたしにも又チャンスがあるかなーって思って! ヘヘッ」


それからというもの、ジュンピョの多忙なスケジュールにも関わらず、図ったようなタイミングでジェギョンはやって来た。
「おいっ! うちの会社の情報管理どうなってんだよっ! サルにダダ漏れじゃねぇか!」
「充分注意しておりますし、ましてや専務のスケジュールは特に…あっ…」
「何だ?」
「いえ、このところ、専務のお母様から専務のご予定についてのお問い合わせが多いかと…」
「…それだ…ババァか…」
「何を喚いているの? ジュンピョ」
「あっ、姉ちゃん、じゃねぇ、会長。
いや、ババァが俺のスケジュールを勝手にサルに教えてやがるみてぇで…」
「ああ、ジェギョンね。あなたの予定を教えてるのは私よ」
「どういうことだよ…」
「あなた、韓国から戻ってからずっと、投げ遣りで脱け殻のようになっていたわ。でもね、自分じゃ気付いていないかも知れないけど、ジェギョンが来るようになって又以前のような生気を取り戻したのよ。だからよ」
「……!」
「いつまでもジャンディにこだわり続けるのはやめて、きちんとジェギョンと向き合って見たらどう?
ジャンディをもう解放してあげなさい。ジフとの事を祝福してあげて」

ジュニの言葉に返す言葉もなく、ジュンピョは己の心と向き合わざるを得なかった。


*

―――もう俺という星に月はいなくなっちまった―――
月を抱いた星のペンダントをもてあそびながら、ジュンピョはぼんやりと考えていた。
先刻ジュニから渡されたそれは、かつてジャンディに贈ったものだった。
ジャンディの性格上、直接ジュンピョに返すというものをジュニが説き伏せて預かってきたのだった。
―――ジャンディ、もうこれ以上ジュンピョに囚われなくていいのよ。
自由になりなさい。自分の気持ちに正直に―――

―――解放、か―――
彼女の気持ちが自分の上にない以上、これ以上の執着は重荷、足枷にしかならないことは頭では良くわかっている。
彼女を任せるとすればジフ以外の男はダメだという気持ちも変わっていない。
理性では解っていても、心が思うように付いて行かない。

―――チクショウ! あいつらを祝福したいのに…どうすりゃいいんだ…―――


翌日は久しぶりに午前中2時間ほどの空きがあり、ゆっくりとした朝を過ごしていた。

「ジューン、グッモーニンッ!」
「また、てめぇか!! せっかく久しぶりにゆっくりできる朝なのによっ!」
「だから来たんじゃない! 久しぶりにゆっくり話ができると思って」
「何の話があンだよっ!」
「まあまあ…朝ごはんちゃんと食べた?」

結局ジェギョンに押し切られる形で食事のあと話すことになってしまっていた。

「で、話って何だよ。話せよ」
「うん。あのね、ジュンは今もジャンディが好きでしょ」
「お、おぅ」
「あたしもジャンディのことは大好きなんだ、ジュンのこと愛してるのと同じくらい。
だから、あたし達二人ジャンディのこと好きな者同士、うまくやっていけるんじゃないかって思うんだ。どお?」
「はぁっ? 何言ってやがんだ、モンキー?」
「だからっ、ジュンがジャンディのこと話してもヤキモチ焼かないで一緒に話ができると思うんだよね」
「…何、バカなこと言ってんだよ…ジェギョン…」
「…名前…呼んでくれるんだ…」

珍しく静かではにかんだジェギョンがそこにいた。


*

ジュンピョに自覚があったかどうかはともかく、ジェギョンの存在が気持ちを整理するうえで救いになったことに間違いはなかっただろう。
そして父親からジャンディ達の後見者を務めると聞かされた時も、自らも二人の事を父に頼んだのだった。

「ジュン。もうすぐ二人の婚約式だね。いつ向こうに行くの?」
「おう、ジェギョン。俺はスケジュールがきつくってよ、いくら調整させても前日の夜がいいとこだな」
「そうなんだー。じゃあ、あたし一足先に行ってるね」
「ちっ、仕方ねーな。よろしく言っといてくれ。婚約式当日は何が何でも行くからって」
「わかった!」
「んじゃぁ、俺はこれからロスへ行かなきゃなんねぇから、もうそろそろ出かけるわ」
「うん、気を付けてね。ジェットで行くんでしょ?」
「ああ」

空港に到着し、AIR SHINHWA と大きく書かれた機体にいつものように乗り込みながら思う。
ジェギョンと過ごす人生も悪くないかも知れないと。
かつて夢見た女性との人生とは違っていても、全く違う他の女に比べれば数段ましかもしれないと思うのだ。
バカを言い合いながら笑って、何よりも彼が愛した女性に関わる想い出を共有してくれる女なのだ。
狡い男と言われても構わない。
ジェギョン自身が言ったのだ ―あたしのこと、狡い女だって思っても良いよ― 
ならばお互い様だ。悪くないだろう。

もう少し…もう少ししたら、俺も踏ん切りがつくだろう。
そうしたら、俺たちも一歩踏み出そう…明日へ…

俺は無くした月を探さない…

機長の機内アナウンスが流れ、機体は滑走路を走り始めると青空に向けて離陸した。


Fin.

*****

ジフ贔屓の私ですが、ジュンピョもそれなりに辛かったというお話でした。
後々の思惑もありましたので…えへへ…




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更新について…懺悔

えーっと、ここに来てちょっと息切れ状態になって参りました。

言い訳を少~しだけさせて下さい。
夏休の時期が終わり、仕事が再びマジでハードになってきてしまいました。

平日にお話書くのは、まず無理❗

休日は、普段出来ない家の用をして、後の時間で頑張って書いておりますが、ストックできる程はなかなか書けません…

かなりのマイペース更新になってしまうと思いますが、見捨てず、気長にお付き合いいただけると嬉しく思います。

季節が進んで参りましたので、皆さま、お体にお気をつけて。安寧(アンニョン)
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哀惜

City Hunter 시티헌터 OST Lonely Day



*****

【哀惜】

「…待っていた…」
「約束の命を貰いに来た…」
ウンチャンはうっすらと哀しげな微笑みを浮かべ、
「…キム・ナナ警護官、すまない」

静かな覚悟を秘めた声が聞こえる。
俺に向けられていた父さんの銃口が、大統領へと動く。

刹那、俺の身体は動いていた。

胸から身体に響く衝撃。
焼けつく痛み、息も出来ない程の圧迫感。

…これ以上父さんに人を殺させたくなかった…
…俺は父さんと幸せに暮らしたかったんだ…


ユンソンが撃たれた瞬間、ナナはジンピョを撃った。
ウンチャンの見開かれた眼。
胸から血を流し膝から崩れ落ちるユンソンの姿。
今目の前で起こっていることを信じたくない…


銃声を聞き付けた他の警護官が一斉に飛び込んで来る。
「外へお連れしろっ!」
ジンピョに銃口をピタリと向け叫ぶ。
「銃を降ろせ!」

しかし、ジンピョは倒れたユンソンと彼に寄り添うナナに銃口を向け、言い放つ。

「動くな! 下手に動けばこいつらが先に死ぬ」
人知れず、ユンソンを見るジンピョの目に愛情が浮かんだ。
しかしそれは一瞬の事で、次の瞬間には冷酷な復讐に燃えるものとなる。
「俺は一掃計画で生き残った唯一の隊員、イ・ジンピョだ。祖国に裏切られた仲間の仇を討つためイ・ギョンワンとチョン・ジェマンを殺した」

瀕死のユンソンは声を出す事も出来ない。

「キム・ジョンシクを歩道橋から突き落とし、ソ・ヨンハクを検察に送りつけた」

―――父さん! それは、俺がした事だ!―――

「そして、最後の標的、チェ・ウンチャンを殺す」
―――ダメだ! 父さん!!―――

「…この俺が…シティハンターだ!」

その瞬間、ジンピョは弾倉を落とすと包囲する警護官に銃口を向けた。

ユンソンの眼前にまるでスローモーションのように繰り広げられる光景…

ジンピョの身体が銃弾を受け、赤く血に染まり、崩れ落ちて行く…

決して止める事の叶わぬ、哀しみの光景だった…

ユンソンは力を振り絞り倒れたジンピョへと手を伸ばす。
ジンピョも最後の力を振り絞りユンソンへとその手を伸ばす。
必死に伸ばした二人の手がやっとの思いで届き繋がれた時、ジンピョの顔に哀しみの籠った微笑みが浮かび、静かに目を閉じた。

その顔は愛しい息子との別れを惜しむ父親の顔に他ならなかった。

***

目を覚ますと白い天井が見えた。
―――ここは…?―――

俺はベッドに横たわっており、点滴やモニターが繋がれ、ベッドの横には心配そうなナナの姿があった。
「…ユンソンさん、ユンソンさん…? 気が付いた…?」
あの気の強いナナが涙を一杯に溜めて俺を見ている。

「…父・さん・は…?」
俺の言葉にナナは静かに首を横に振る。

「…大統領閣下が…『一掃計画』を全て認めて、生き残ったイ・ジンピョ氏が復讐のためにシティハンターとして自分たち5人を狙ったのだと発表なさったわ…ユンソンさんの事は公にはされず、大統領を庇って撃たれた人がいたとだけ…」

俺はナナから顔を逸らした。堪えきれない涙が溢れる。
ようやく口に上せる事が出来た言葉は、
「頼む。俺を一人にしてくれ…」
何か言いたげな様子を見せながらもナナは俺の望みを聞き入れ、病室を出て行った。

一人になり、父さんの事を思い浮かべる。
俺が子供のころから厳しかった父さん。タイのゴールデン・トライアングルで生きるために子供のころから格闘技や銃器の扱いに始まって、地雷原だらけの土地で生きる知識も叩き込まれた。勉強もおろそかにすることは許されなかった。
それでも何不自由なく育ててもらった。一般的な家庭の愛情や母親以外のものは全て…

でも、父さん。父さんは俺を愛してくれてたんだろう?
復讐の為だけに命がけで俺を地雷から救ってくれたりはしなかっただろう?
シクチュンおじさんをタイの水上マーケットで助けて家に連れてきたとき、「外部の人間はつれてくるなと言ったはずだ!」と言いながら、父さんは俺が故国と故国の人を懐かしんでいることを察しておじさんを家に置いてくれただろう?

俺の為に思いとどまって欲しかった。
復讐を止めて、父さんと幸せに暮らしたかったんだ…本当に…

でも父さんは復讐することでしか、生きられなかったんだね…殺されてしまった20人の隊員達の怨鎖の声が父さんを絡め取ったんだろう…
父さん、もう解放された…?
今は笑ってる…?

最後に俺の罪まで被って逝った父さん…
俺にとっての父親はやっぱり、父さんだよ…


***

九死に一生を得た俺は、青瓦台を退職しアメリカに戻ることにした。
元々、復讐のために来た韓国だったし、母さんの病気の治療にはアメリカの方が良い。
シクチュンおじさんも一緒だ。
そして、キム・ナナ。長年植物状態だったナナのお父さんがとうとう亡くなった。
お父さんが亡くなって韓国にいる必要が亡くなったナナは、これを機会に青瓦台の警護官を退職し俺たちと一緒にアメリカに来てくれるという。
母さんとシクチュンおじさんは大喜びだ。

俺の実の父親、チェ・ウンチャン元大統領は母さんと俺に「すまなかった」と詫びてくれたけれど、もう今となってはそんなことはどうでもよかった。家族にも全てを話すというウンチャンを俺たちは止めた。

イ・ジンピョが最後に語った言葉を、チェ・ウンチャン大統領は全て認め、
彼がシティハンターであり、それが仲間の復讐の為であったと言うことで決着が着いた。
しかし、一部の人は今もシティハンターは別の人物であると確信している。

無念の死を遂げた20人の隊員達の名誉は回復され、追悼の記念碑が築かれた。その碑には『イ・ジンピョ』の名も刻まれている。
大韓民国の国民が碑の前に頭を垂れる。

俺は心の中で語りかける。
―――父さん―――


Fin.

*****

City Hunter - OST (Endless Crying)








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『シティハンター in Seoul』二次 UPのお知らせ

いつもご訪問いただき、ありがとうございます💕

『花より男子』韓国版・ジフとジャンディ、日本版・類つくをメインに書かせて頂いておりますが、今回『シティハンター in Seoul』が書きたくなってしまいました。

それもこれも(どれが?)、そもそも『シティハンター in Seoul』のOSTを久々に聴いてしまったせいなんです。

『Lonely day』と『Endless cry』、この2曲に弱くて…

で、短編ですが、10月26日6:00にUP致します。

花男ではありませんが、よろしければ読んでやって下さい。

余談ですが、花男のイ・ミンホは大嫌いですが、シティハンターのユンソン演ってるミンホはまあまあ好きです。
信義(シンイ)でチェ・ヨンを演ってるミンホが一番好きです。

でも、最高に💓♥❤愛してるのは、キム・ヒョンジュンです❗
ユン・ジフ チェゴヨ❕

*****



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生きていく意味 ―アゲハ…その舞い降りる先に―  8

運転手が目的地への到着を告げ、リムジンのドアが開けられる。
先に降りた類の手がつくしへと差し出され、その手を取りエスコートされてリムジンを降りる。
そこは一見すると大きな前庭のある洋館のようで、とても店舗とは思えなかった。

「ほんとは二人だけでゆっくり食事したかったんだけど、俺だけつくしを独り占めすると煩い奴らが多いからね。内緒にしててごめんね。もう来てると思うよ」
「えっ、類、もしかして…?」
「俺に会っちゃったんだから、もういいだろ?」

つくしの腰をしっかりとホールドし店内に足を踏み入れる。
つくしの予想に反して他の客はおらず、そこにいるのは懐かしい顔ぶればかり…
知らず涙がこみ上げてくる。
―――何も言わずに姿を消したあたしなのに―――

「よお、牧野。久しぶり。元気だったか?」
「つくしチャン、何泣いちゃってんだよ、久しぶりに会ったのに。
おにぃさんに会えてそんなに嬉しいか?」
「先輩、お元気そうで何よりですわ。
滋さんは今NYに行かれていてお会いできないことを残念がっておられましたわ」
「つくし、元気そうでよかった」

皆の昔と変わらぬ態度に喜びが込み上げてきた。


食事を済ませ、ゆったりとアルコールやハーヴティーを手に、つくしのこれまでの生活に話題が及ぶ。

「じゃあ牧野は今や心臓血管外科の医者なのか?」
「さすが鉄パン牧野だな。半端ねぇ」
「ちょっとエロ門、それと医者がどう関係するのよっ!」
「それにしてもあり得ない偶然ですわね。メープルで花沢さんと再会されるとは…」
「俺もまさか牧野に会えるとは思ってもみなかったよ。
俺は今回たまたま商談でメープルに行ってて、牧野は学会で」
「って、類、おまえここ10年で一番いい顔してるぜ。何があったのかちゃんと話せよ」

上機嫌な類の様子を見てあきらが促す。

「俺と牧野、結婚するから」
「いきなりかよっ!」
「別に早くないでしょ? 俺10年以上待ったんだから。ねぇ牧野、良いよね?」
「で…でも、類のご家族は反対しないかな…あたしなんかで…」
「絶対、大丈夫だよ。それに早くしないとウォルトンやエリソンに取られたら大変…」
「おい、待てよ。ウォルトンやエリソンって…あの…か?
牧野、おまえ、そんな奴らにコナかけられてんのかよ!?」
「つくしチャン、やるねー。この10年近くでやっぱり成長したんだな。
お兄さんは安心したぞ。で、鉄パンはもう脱いだか? んっ?」
「あきらも総二郎も余計なことはいいから…黙って」

10年以上経っても相変わらずのやり取りに思わず知らず顔がほころぶ。
男性陣と離れて女性陣は庭に面した夜のサンルームに場所を移した。

「つくしったら全然連絡もくれないし、本当に心配してたんだから…
便りが無いのが元気な証拠、って自分に言い聞かせてたけど…」
「ごめんね…優紀…」
「本当に水臭いですわ、先輩は。せめてわたくしたちぐらいには連絡を下さっても良かったんじゃありません?」
「ごめんね、桜子。あの頃は…F4に関わる人とは距離を置きたかったんだよね、自分の事に一杯一杯で…」
「まぁ、よろしいですわ。こうしてまた、わたくしたちの所に戻ってきて下さいましたもの。許してさしあげます。それにしてもまさかお医者さまとは、思いもよりませんでしたわ。先輩のようなそそっかしい方がドクターで大丈夫なんですの?」
「桜子、あんたね、それ褒めてんの、貶してんの? それに相変わらずの上からのもの言いね」
「ありがとうございます。これがわたくしですもの」
「あんたぐらいそこまで徹底されると、いっそ気持ちいいわ、ハァ」
昔のようにお互い言いたいように言って笑いあっている。
日本に帰ってきて良かったと思えるのだった。

ふと、悪戯っぽい目つきになった桜子が
「で、先輩、花沢さんとはどこまで?」
グフッ! ゴホッゴホッ!
「どこまでも相変わらずですわね、先輩。もういい年なんですから…いい加減…」
「いい加減、何よ?」
「カマトトぶるのもおやめになって、ってことですよ。
まっ、花沢さんが結婚宣言なさった程ですから、再会なさってからすでにそういう関係にはおなりですわよね、きっと」
「そ、そういう関係って…」
つくしの真っ赤な顔で桜子も優紀もそれ以上追及の必要はなかった。
二人顔を見合わせ、やはり、と頷きあう。

「ひ、人の事よりあんたたち二人はどうなのよ?」
「ご心配なく、あきらさんとは夫婦円満にやっておりますから、仕事も順調ですし」
「あたしもそれなりに恋愛してるよー、心配しないで、つくし」
「滋さんも道明寺さんと今では結構うまくやっておられるようですわ。滋さん曰く、『熱烈な恋人同士にはなれなかったけど、人生のパートナーぐらいにはなれたみたい』とか。
とにかく仕事上でも良いパートナーを務められているようですわ」
「そうかぁ、良かったぁ。二人とも幸せになってもらいたいもの…」
「じゃあ、今度はつくしの番だね」
「そうですわね」
「えっ…」
ニッコリとほほ笑む二人の友人がそこにいた。


*****




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祝い? 冷やかし? お邪魔虫?【短編】

これはジフとジャンディの両想いになって、婚約式や結婚が決まった頃のお話です。
そうそう、「ジャンディ」というのは韓国語で「芝生」という意味があります。
「雑草」ではないですが、ある意味「草」ですね…

今回、試しに呼び名を正式な韓国語スタイルにしてみました。

**********************

「よう、チフャ」

イジョンとカウルちゃんが二人揃ってやってきたのは、チャンディと婚約が決まったと知らせてすぐだった。

「きゃーっ! チャンディャ! おめでとう!!」
「ありがとう! カウラ!」

女性二人はきゃーきゃーと抱き合って喜びあっている。
嬉しいのはわかるけど、そんなに久しぶりでもないだろうに…
女の子のこういうところは男には理解不能だ。
それでもチャンディの嬉しそうな様子を見ているのは気分がいい。

「今まで散々ヤキモキさせたと思えば、いきなり婚約だって?
えらく急ぐじゃないか、チフャ」
「俺が急いだわけじゃない。ハラボジがどのみち結婚するんだから同じだって言ってね」
「とか何とか言って、まんざらでもなさそうな顔してるぜ」
「まあね。その方が安心ではあるし…」
「ジュンピョかよ?」
「まあ…他にもね」
「チャンディは何気にモテるからなぁ、くくっ、チフャ、心配なんだろ?」
「うるさいよ、イジョンァ。 おまえこそどうなってるんだ?
俺たちより早く婚約するかと思ってたけどね?」
「…うちはおまえのところほど簡単にはいかないな。
おまえの所はハラボジがチャンディを気に入って『孫の伴侶』って公言してるぐらいだからな。スアム文化財団の会長で元大統領の意向に異議を唱えられる奴なんてそうそういないだろう?」
「親父さんは何も言わないだろう?」
「ああ、親父はな。彼女の事も知ってるし。問題は母親だ…
まっ、とにかく俺んとこはもうしばらくかかりそうだな」

「イジョン先輩、今日はありがとうございます。カウルとも久しぶりに会えてすっごく嬉しい。婚約式には先輩もカウルと一緒に出席してくれるんですよね?」
「ああ、出るよ。普段無表情なチフがどんな顔をするかじっくり見ないとな」
「別に特に変わらないよ」
「チャンディが昔のように明るい笑顔になれたのはチフ先輩のおかげですね。
チャンディ本当に幸せそうな笑顔だもの」

そんな他愛もないことを話しながら和やかな時間が流れる。
しばらくして、ウビンが遅れてやってきた。

「Yo, Ladys and Jentlemen! 遅れてわりぃ。詫びに美味いワインを持って来た」

手に持ったワインを掲げながら、相変わらずの英語交じりの挨拶をする。

「これはクム・ジャンディにだ。おめでとう」
そう言って手にしていた白とピンクのマーガレットの大きな花束を渡す。

「ウビナ、おまえも当然チフの婚約式には出るだろう?」
「当り前だろう。出ないでどうするんだ、イジョンァ。
チフがどんな顔してるかじっくり拝まないとな」
「まったく無愛想な男だからな、こいつは」

ふいっと、いきなりソギョンが話に加わってきた。
驚いたのはイジョンとウビンである。
カウルは久しぶりに会ったソギョンに嬉しそうな笑顔を向けた。

「悪ガキどもが元気にしておったか? 二人が世話になって礼を言う。
カウルはイジョンと恋仲なのか? こいつは遊び人だぞ、知っておるか?」
「ふふっ、ハラボジ、よーく知ってます。でもイジョン先輩は本当は純粋で一途な人なんです。私、先輩のそういうところが大好きなんです」
「ちょっ、カウリャン。何を…んっ、んん、ハラボジ、俺も遊び人はもう辞めたんですよ」
「ほうぅ…そうかね? 照れおって。ウビナ、おまえは彼女はおらんのか?」
「俺はまだ当分、独身を謳歌しますよ、ハラボジ。結婚は『人生の墓場』とも言うじゃないですか。俺はまだ一生を共に過ごしたいような人に巡り合えてませんし、政略結婚も御免ですからね」
「ふむ…確かに今どき政略結婚なんぞという時代ではないと儂も思うが、そうは思わん奴もまだまだいるのがこの世界だ。おまえの親はそういう古い考えではないと思うがね…
儂はこの無愛想な男のお蔭でなかなか隠居もできん。チャンディが来てくれれば少しはましになるかと期待しておるんだがな」

ソギョンは悪戯っぽくウィンクし部屋を後にする。

「儂はこれで失礼する。ゆっくりしていきなさい」



祖父が出て行って友人たちだけになると、また女の子同士の話が始まる。

「チャンディャ、お部屋どんなの? チャンディのお部屋見せてもらっていい?」
「えっ、えっ、カウラ、それは…ちょっと…」
「え? なんで? ちょっとぐらい見せてくれてもいいでしょ?」
「えっと、書斎なら…」
「書斎―? じゃなくて、チャンディの部屋―」
「…」

思わずチフをちらりと見るチャンディに、事も無げに

「別にいいけど、特に何も無いよ、カウリャン。俺たちの部屋」

途端に顔を赤くしたチャンディを余所にチフが続ける。

「俺たち、同じ部屋だから」
「「「えーっ!」」」
「ハラボジ、何も言わないのかよ?」
「ハラボジがそうしろって言ったんだよ」
「へぇー! 早くひ孫の顔見せろってことか?」
「おまえら、煩いよ。別にどうでもいいだろ?」

しれっとしたチフに対し、チャンディはもはや茹蛸状態で、カウルまでつられて顔を赤くしている。

「ったく、チフャ。おまえってほんとっ、からかい甲斐がない奴だよな」
「まっ、その分をチャンディが補ってるか?」
「確かに!」
「おまえら、チャンディをからかうのも大概にしてくれる?」
「なんだー? チフャ、ヤキモチか?」
「あんまり独占欲がひどいと引かれちまうぞ」

口々に囃し立てながらも、今ここにいない親友の彼女だからと自分の気持ちに封印をし、今まで彼女を見守り続けたこの親友の想いを知っていたからこそ、彼らは心から良かったと思えるのだ。


Fin.

******
婚約式までの他愛ない一コマでした。
韓国版ではイジョン(=西門総二郎)とカウル(=松岡優紀)は恋人同士です。
日本版とは雰囲気がかなり異なります。

マーガレット花束




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いつも心に君がいる 【短編】

花男、挿入歌 イ・サンゴンの『涙が出る』に乗せて短編を一つ。
この歌も大好きなのです。切なくて。



********************
涙が出る/イ・サンゴン

本当に辛いことだ 何歩か後ろで
君を見守ることは こんなにも
その涙のせいで 恋しさのせいで 
曇ってゆく君を

* 初めてのあの時に戻ることはできないのか
名前さえ知らなかった時に
もう少しだけこのまま見つめているよ
今僕は君しか見えないから
今日まではただ君を見つめているだけにして
明日は君を忘れると誓う

消そうとしたけれど 染みになった想い出
滲んでゆくだけだ

(* 繰り返し)

耐えられるかどうかわからないけれど
僕は去ることだけ
永遠に君を愛してる 一度も言えなかった言葉
心の中に飲み込んだまま 消さなければいけないのか
ずっとそんな風に 君なしに生きて行っても
いつも僕の胸の中には 君がいるだけ

*********************************

ジュンピョとジュンピョの婚約者との4人で出かけたリゾートで、またジャンディは傷ついた。
彼女にこんな顔をさせるジュンピョに遠慮なんてしない、そう思いながらも彼女がジュンピョを求めているから、思い切って踏み出すことができない…

気分転換にとリゾートの帰り道、医学部の合格祈願にと彼女をお寺に行こうと誘った。
お寺の本堂で二人並んで礼拝する。静かで穏やかな時間。

祈願の瓦(※日本の絵馬のようなものです)を二人それぞれ書いた。
俺は『クム・ジャンディ。合格祈願』
ジャンディは『ユン・ジフ。いつも幸せに』

ジャンディの書いてくれた祈願文に胸が熱くなる。
けれど同時に一抹の寂しさがこみあげる。
(君なしで幸せになんてなれない…)

お参りを済ませて境内で聖水を戴く。
そこに僧侶が一人やってきた。
ジャンディは合掌しながらお辞儀をしたあと、僧侶に水を汲み手渡す。
僧侶も合掌しお辞儀して受け取ったあと水を口にする。

俺たちは僧侶に会釈してその場を立ち去ろうとした。

その時―
「良い相をしている」

急に僧侶が俺に話すともなく、語り始めた。
俺はなぜか気になり、つい振り向いていた。
僧侶は俺を正面から見て語り続ける。

「泥も浄化する蓮の花の相だ、あのお嬢さんは。
大切にしなさい」
「…えっ?」
「君に家族をつくってくれる縁だ」

俺は思わず先を歩くジャンディの後ろ姿をじっと見つめて、今話された事の意味を考えていた。

あれから、この時の僧侶の言葉がずっと俺の頭にこびりついている。



両親の死後、祖父とは疎遠なままだ。
家には使用人以外いない、家族のいない生活が15年間続いている。

『家族をつくってくれる』

俺はその意味を測りかねて考える。
祖父のことを意味しているのか?
15年間の確執がいまさら無くなるとも思えない。

では…
見てはいけない夢を見そうになる…

…もし…彼女が俺を見てくれたら…
…もし、彼女が俺を望んでくれるなら…
…もしかしたら…彼女が俺に新しい家族をもたらしてくれるのだろうか…?…

あり得ない事。
見果てぬ夢。

叶うことはないとわかっていても、愛してる。
俺は一人夢見続けるよ、ジャンディャ…



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missing for you 最終話

婚約式が終わり、ラビルドールの部屋に戻ったジャンディの表情は晴れなかった。
ドレスを脱いで着替えると嬉しさよりも疲れだけがのしかかってきた。

ドアチャイムが鳴り友人たちがやってきたことが解って部屋に招き入れる。

「ジャンディ、どうしたの? 疲れちゃった?」
「元気印のおまえが珍しいな」
「なに、浮かない顔してんだよっ」
「入ってくるなり、次っ、次っ、煩いなっ!」
「どうした、クム・ジャンディ、何イラついてる?」

その時、何かを察したク・ジュンピョがはぁーん、といった顔をして話し始めた。
「おまえ、今日の婚約式が気にくわねぇんだろ? ジフらしくねぇって」
「………」
「あのな、みぃーんなおまえのためだかんな、あいつのする事は。これから先、おまえが少しでも辛い思いをしないで済むように、あいつなりに考えて、ハラボジとも相談しながら決めてやってることだ。あいつの性格からすりゃ、あいつだってこんな大げさな事、本当はやりたくねぇに決まってる。口癖みてぇに『面倒だ』って奴だからな」
「そうなの…かな…」
「まっ、そうだな。ジャンディだって知ってるだろ? あいつは暇さえあれば昼寝してたやつだぜ」
「ジャンディのためには昼寝は後回しだけどな」

その言葉に全員が思わず破顔し、ようやくジャンディに笑顔が戻ったところで、半ばうんざりとした表情のジフがやってきた。
中には思い出し笑いに腹を抱えている者もいて、怪訝な顔でジフが訊ねる。

「…何やってるの?」

ジフにしたところで今日のようなパーティは本来好きではない。
早くジャンディと二人きりになりたいというのが本音だった。
しかし友人たちはこれからが本番とばかり、二人を帰してくれる気配はない。

「ジャンディーっ! 久しぶりに会えてうれしいっ! あたし、今回はしばらくこっちにいるから、また会おうよ、カウルも一緒に。あっ、ミンジも一緒しようよ」
「おいっ、モンキー! てめぇ、何勝手言ってやがるっ!」
「あっ、ジュン。うらやましいんでしょ。あたしがジャンディと遊べるの。
ふふーんっだ! 女子の特権だもんね。あ、それともあたしがいなくて寂しいとか?」
「ばっ、ばか言ってんじゃねぇ! おまえが邪魔しに来なけりゃ、ビジネスも捗るってもんだ」
「「おっ、おまえら、向こう(NY)でまた会ってんのか?」」

イジョンとウビンが思わずハモる。

「会ってるわけじゃねぇよ。こいつが例によって押しかけてきやがるんだ」
「いいじゃーん。ジュンとはやっぱり気が合う気がするんだもん」
「るっせーな」
「「確かに二人ともそのパワーは似てるよ…」」

かつて二人に振り回されまくったイジョンとウビンはうんざりしたようにつぶやく。
ジャンディとカウルも頭をよぎる光景に苦笑が漏れる。

ウビンがいつものF4の長男ぶりを発揮して声を上げる。
「さあさあ、今日は二人の婚約祝いとジフの誕生祝いだ。
めったに集まれない人間が集まったんだ。久しぶりに盛り上がろうぜ」

全てのわだかまりが無くなり、親友同士の屈託の無い語らい…
女性陣は旧交を温め、新たな交友を深めあい、無上の一時を過ごす。

楽しげに語らう友人たちの傍らに、満ち足りた気分でソファにゆったりと腰を下ろしていたジフは、婚約式までの強行軍の疲れもあってか、いつしか眠気に襲われる。
それに気付いたジュンピョが喚きはじめる。

「ジフ! てめぇ、寝る気かっ!」
「勘弁してよ、ジュンピョ。さすがに、ここんとこ強行軍で疲れてるんだ…」
「俺らがせっかく祝ってやってんのに!」
「おまえらだけで好きに騒いで…ジャンディも疲れてるからそろそろ解放してやって…」
「おいっ!」
「…」

ジフが本格的に寝てしまえばテコでも起きないことは誰しも良くわかりすぎるほど良く解っている。

「こりゃ、もうお開きだな…」
「俺たちだけで場所を変えて呑み直すか?」
「次にいつ会えるか、わかんねぇしな…そうするか?」

「あたしたちも今日はこれで帰るわね、ジャンディ」
「ジェギョン・オンニ、今日は本当にありがとうございました」
「ううん、ジャンディに会えた嬉しかった。今日は帰るけどまたね」

「おい、ジャンディ。ジフの奴、ベッドに放り込んどいたぞ。
どこででも寝られるあいつのことだから大丈夫だとは思うが、風邪ひかねぇように念の為な」
「ありがとう、ク・ジュンピョ」
「ジフが風邪ひいちまうとクム・ジャンディがうつされちゃうからな」

ニヤリと悪戯っぽく笑いながらウビンが言う。
ジャンディが首まで真っ赤になるのを横目で見ながら、人知れずジュンピョの目に寂しさがよぎっていた。
―――俺が…いや、よそう。
二人とも俺の大切なダチだ…幸せに…―――

恋い続けた恋人たちの新たな日々が始まる。


Fin.

*****

『missing for you』これで終わります。
次からは『幸せとは…』開始です。内容はこの続きなのですが、
キム・ヒョンジュンの花男挿入歌のタイトルを使いたかったというのが本音で、
どこからこのタイトルを使おうかと考えていて、この区切りで使わせていただきました。
これからも読んでいただけると嬉しいです。


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missing for you 20

婚約式会場。

会場中央にジフとジャンディ、その両隣にユン・ソギョンとク・ボニョンが立っている。
司会者がユン・ジフとクム・ジャンディの婚約式の開始を告げる。
ジフが婚約を宣誓し二人がお互いの指に婚約指輪を嵌める。

会場から拍手と祝福の声が上がる。
その中で一部に眉を顰める者がいることを見逃すものはいなかった。

そのためにこそ、今回ク・ボニョンの申し出があったのだから。

一見にこやかに見せながら、その実有無を言わさぬ威厳を持ってボニョンが話し始める。

「本日は皆様も良くご存じのスアム文化財団後継者、ユン・ジフ氏とクム・ジャンディ嬢の婚約披露式にご列席頂き、ありがとうございます。
クム・ジャンディ嬢は私にとっては娘も同然であり、今後彼女の事を皆さまにお願いしたく、本日はこうして参列させていただいている」

言外にジャンディに仇成すものは神話(シンファ)グループを敵に回すことを匂わせながら…

続いてユン・ソギョンが挨拶をする。

「本日は誠にありがとう。孫の伴侶にと儂が見込んだ娘だ。
どうか若い二人を皆で盛り立ててやってもらいたい」

その後、次々と祝辞が延べられる中、列席の人々が驚いたのはジャンディの友人として個人的に祝辞を述べた人物たちであった。
JKグループ後継者、ハ・ジェギョン、オ・ミンジ、そしてジフと共通の友人としてF3が名乗りを上げたことであった。

パーティーは進み、出席者たちがそれぞれに挨拶を交わし談笑を始める。
その中でも今日の主役たちは一際目立っていた。
F3をはじめとしたそうそうたるメンバーを周囲に、ジフの横に立つ生き生きとしたジャンディは人々の注目を集めた。

ふと、ドアが開けられ一人の女性が入って来た。人々の視線が一瞬そちらに向く。

「ジャンディ、ジフ。おめでとう。遅くなってごめんなさい。
今アメリカから着いたところなの」

そう言いながらジャンディに近づくと彼女を抱きしめる。

「ジフ、私の大事な妹なんだから、幸せにしてあげてね。じゃないと、ジュンピョに取り戻させるわよ」
「…ジュニ・オンニ(お姉さん)…」

ジャンディが困ったような顔をするから、俺はジュニ姉さんに自信満々に答える。
「ヌナ(お姉さん)、ご心配なく。必ず幸せにしますから」
「この耳で聞いたわよ、ジフ。その言葉忘れないでね」

更にジャンディに花束が届けられた。
送り主はミン・ソヒョン。メッセージカードが付いていて読み上げられる。
『ジャンディさん、ジフ。婚約おめでとう。ぜひ出席させてもらいたかったのだけれど、仕事の都合でどうしても渡韓ができなかったの。結婚式には必ず出席させてもらうわ。
親愛なる私の大事な弟と妹へ愛をこめて。ミン・ソヒョンより』

あのミン・ソヒョンとも親しいのか、との驚きが会場に静かに拡がる。

ク・ボニョンが後ろ盾となり、次代を担うジュニアたちがあれだけ周りにいるジャンディを、この時の列席者たちの誰一人として軽んじることができなくなってしまったのだった。



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